BOB

クィーンのBOBのレビュー・感想・評価

クィーン(2006年製作の映画)
3.8
主演のヘレン・ミレンがアカデミー主演女優賞に輝いた、エリザベス女王の伝記ドラマ。

1997年イギリス。ダイアナ元妃の突然の訃報を受け、エリザベス二世が対応に苦心する。

"I doubt there is anyone who knows the British people more than I do, Mr. Blair, nor who has greater faith in their wisdom and judgement. And it is my belief that they will any moment reject this... this "mood", which is being stirred up by the press, in favor of a period of restrained grief, and sober, private mourning. That's the way we do things in this country, quietly, with dignity. That's what the rest of the world has always admired us for.

2022年はダイアナ元妃没後25年、エリザベス二世崩御と、英国王室にとって特別な1年だった。それに際して、『スペンサー』『プリンセス・ダイアナ』等、英国王室関連の作品が多く公開されている。それらを鑑賞する前に、まずこの作品。

一番初めに思ったことは、よくこの作品が作れたなと。存命のイギリス女王を題材にした伝記映画なんて、さぞ多くのプレッシャーやハードルがあったろう。

どこまで事実かは分からないが、興味深い作品だった。エリザベス二世の偉大さや、ダイアナ元妃の影響力の大きさを感じるとともに、時代の変化に伴う王室の在り方について考えさせられた。

エリザベス二世を、女王としてではなく、一人の人間として描いている所が面白い。王室批判の手紙を目にして悲しまれるシーンや、様々な想いを抱えて思わず涙されるシーン🦌が印象的だった。"女王は神から選ばれ、全生涯を神と国民に捧げる存在"。女王って本当に大変な職業だ。しかも70年。我々には理解できないほどの重圧や苦悩があったことは想像に難くない。

本作ではフィリップ殿下が保守派代表として描かれているが、彼の主張も一理あった。会ったこともない人間の死をなぜこれほど悲しめるのか。国民が見ているダイアナ妃はマスコミが作り上げた虚像かもしれない。マスコミの印象操作によって、国民のショックと怒りのはけ口が王室に向いただけなのかもしれない。

ヘレン・ミレンの演技が素晴らしい。エリザベス二世に見た目はそっくりだったし、困惑や苦悩、ひとつひとつの表情が繊細で惹きつけられた。

伝統と革新。保守と自由。君主制と共和制。王室とマスコミと国民の関係性。"民意"という肩書を借りたマスコミの印象操作。控えめで品位のある、世界から尊敬される国民性でなければならない。悲しむべき時にマスコミが煽り立てるムード。

ハンティングスタイル。バブアー、頭にはスカーフ。コーギー。

"People's princess"

"That woman has given her whole life in service to her people. Fifty years doing a job SHE never wanted! A job she watched kill her father. She's executed it with honor, dignity, and, as far as I can tell, without a single blemish, and now we're all baying for her blood! All because she's struggling to lead the world in mourning for someone who... who threw everything she offered back in her face. And who, for the last few years, seemed committed 24/7 to destroying everything she holds most dear!"

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