ゆみモン

醜聞(スキャンダル)のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

1950年。
黒澤明が初めて松竹に招かれメガホンを取った作品。
脚本は「野良犬(49)」と同じく菊島隆三との共著。
新進気鋭の画家・青江(三船敏郎)と美しい声楽家・西條(山口淑子)が偶然出遭ったところを雑誌記者に盗撮される。まったくの醜聞(スキャンダル)に巻き込まれていく二人。物語の舞台はやがて裁判へ……。いたずらに醜聞を追うジャーナリズムを糾弾する一方で、後半は志村喬演じる弁護士・蛭田の心情・行動が焦点となっていく。

原告側代理人弁護士役の志村喬が素晴らしい。
蛭田弁護士は、被告人である雑誌「アムール」の代表に買収されて、被告人のために全力を尽くして闘うことをしなかった。それをずっと隠していた蛭田だが、結核で闘病していた娘が青江の勝利を信じて亡くなったことで、最後の最後に真実を告白する。
この志村喬の演技は、1952年の『生きる』に繋がっていく物に感じた。