数年ぶりに観た。中学生くらいの時に時々姉貴と二人で映画を観るようになって、それまで普通にエディ・マーフィーとかが好きだったところに『ドニー・ダーコ』とか『マルホランド・ドライブ』とかを観せられて絶望的な衝撃を受けたものだった。
『ロスト・ハイウェイ』は、『マルホランド・ドライブ』に比べたらわかりやすいな、と思ったけど、久しぶりに見るとやっぱりよくわからない所はよくわからない。テーマは『愛』よ…みたいに書いてある批評を読んだことがあって、そうか、『愛』か…と思ったこともあったけれども、『愛』だけでは説明がつかないような気がする。妻の不貞を直感し、嫉妬に狂う中で、精神に異常を来す男の話…というような感じだけれども、手の届かない、悪意に満ちた幻影のような女性像を演じきるレネェ/アリスが素晴らしい。それでいて妙なコンプレックスを感じさせないというか、エロティックでセンスの良い、ダークな夢のような描き方をする辺りが、リンチの人気の所以ではあるまいか。ラムシュタインとか、マリリン・マンソンとか、同時代のアーティストの音楽をすごく有機的に取り込んでいるのもすごい。それでいて突拍子もないルー・リードとか、ところどころ不思議なところも好きだった。