半兵衛

戦略大作戦の半兵衛のレビュー・感想・評価

戦略大作戦(1970年製作の映画)
4.1
戦争のどさくさに紛れて敵であるドイツ軍の金塊を強奪しようとする特殊チームの活躍を描いたよくある戦争コメディであるけれど、豪華スター達の飄々とした演技やスケールの大きい戦闘シーンの数々でそこそこ楽しく見ていられる。ただそれでも二時間半という長時間なので緊張感を持続できず中弛みすることが多いのがちょっと残念。

それでも後半の88ミリ砲で町中を破壊しまくる敵戦車の迫力ある描写(本当に建物を破壊している)で俄然面白くなってくるが、その後の予想だにしない展開にびっくり。ただ主人公たちと敵の仲良くやってる描写や突然始まる祝祭といい、「戦争なんて馬鹿らしい行為なんてやめちまえ!」というスタッフの心からのメッセージを感じて胸が熱くなる。戦争という場所で友情を結ぶ敵味方や、敵味方祝祭で楽しんでいる姿は岡本喜八の作品群を彷彿とさせるのも喜八ファンとしては嬉しい。

スター達の中でもドナルド・サザーランドの、どんな状況でもマイペースで喰えない奇人ぶりが最高。ラストのお祭りで敵の服と戦車を買って周囲の人たちと心行くまで楽しんでいる姿にこちらもほっこりとする。『特攻大作戦』では一番の変人だったテリー・サヴァラスが、この作品では真面目な隊長を演じているのも何か笑える。

クリント・イーストウッドがこういうオールスター映画に出ているのも珍しい気がするが、慣れていないせいかどこか所在なげな演技をしている(元々この映画を撮る予定だったドン・シーゲルが降板した影響もあるのかもしれないが)。オールスターものになると浮きがちになる萩原健一と共通するものを感じる。
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