まる

さくらんのまるのレビュー・感想・評価

さくらん(2007年製作の映画)
3.8
時代を考えるとリアルかどうか、と言う映画ではない。
蜷川実花と椎名林檎、安野モヨコというクセとアクの強くて毒々しくも美しい抜群のセンスと、弱い立場にある遊女の強さとプライドの映画だ。女性監督目線からか、俳優のヌードにも気を遣っているように感じたのが良かった。

化粧や着物は時代には則していないが、幻想的で目に刺さる画作りに貢献しているので好き。音楽も最高に合うし、映画は映像と音声のマリアージュなのだと痛感する。

子供の時に原作を読んでよく分からず終わったが、大人になり廓がどんなところか、彼女たちの日常がどんなものか、そして逃げたらどうなるか理解できるようになった。
だから、ラストの凄絶さにびっくりした。
どうにもならないものがある世界で、それでも自分を諦めなかった2人のその後は考えたくないが一瞬の自由を謳歌できたら幸せだろう。春の明るい爽やかさとの対比が天才的なラストだ。
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