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皮膚を売った男のまるのレビュー・感想・評価

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
4.4
人間としての自由と人権を手に入れるために自ら「モノ」となる。
金持ちの教養人から「美術品」として賛辞を受け、金も手にするが人間として自由になれるのだろうか。

2011年、アラブの春と共に始まる映画は実にきな臭い。人権も自由も奪われた独裁国家シリアでつい口にした「革命」と「自由」というNGワードで捕まり、難民となった貧乏な青年は金も自由も人権もなく、彼の人生は見向きもされない「欧米が頭を悩ます難民の一人」だ。

それが高名なアーティストがタトゥーを彫れば、彼の行動一つが昨日にまつわるストーリーとなり過激なストーリーが集まればますます「作品」の価値は上がる。

自由、人権、アートとは何か、アートの価値とは何か、倫理、恵まれない人々への世界の関心…。様々な感想が無限に湧く挑戦的な映画だ。
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