骨折り損

お早ようの骨折り損のレビュー・感想・評価

お早よう(1959年製作の映画)
4.2
勇ちゃん可愛すぎ。
なんなんマジで!可愛すぎてもうそれだけで満点!!(4.2点)

同じ小津作品である『生まれては見たけれど』が大好きだったので、こちらもどうかと鑑賞。やっぱり子どもを撮る小津安二郎は最高であることをまたも証明してくれた。お兄ちゃんの真似事ばかりする弟の愛らしさ、半端ない。もう物語なんてなくたって一生見ていられる。なのにちゃんと物語もしっかりしてるんだよな。

自分が知らないところで、噂を立てられ、勘違いをされ、それが事実のように拡散され、そして誰かを傷つけて...この世の心理を、町内会の些細な出来事でさらりと語ってしまう。その巧さと深さに感動する。

色々なテーマを重ねながらも、それが一切渋滞する事なく、複合的に噛み合う構成の緻密さも見事。「大人だって余計なこと言うじゃないか!おはようございますーお元気ですかーって!」子どもだから言える深そうな台詞も、「子どもにはまだ分からないよ」という大人の台詞も、どちらにも説得力がある。あくまで現象を描いているからこそ、どちらにも偏らず見れる。敵を作らず、ドラマを作るってとてつもなく難しい事のように思える。

60年も前の話が、まるで昨日の話のように身近に感じる。いつまで経っても、人間の本質はそう変わらないのだろう。
骨折り損

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