神保町シアター
プログレッシブロックというジャンルがあって、変拍子や不協和音などを用いつつ超絶技巧で難解な曲を演奏するのだが、インテリちっくな匂いがもてはやされて一時は一定の勢力を誇示したもののあまりに頭でっかちになりすぎたか、70年代終わりに頭の悪いパンクスたちに一掃される悲しい歴史もあったりするのはどうでもいい話で、演奏している当人たちは案外オーソドックスなブルースやR&Bファンだったりする。
本作がそういうプログレちっくな効果(どういう効果だ)を狙っていたかは知る由もないが(よく見ればATG配給)、喜劇が得意の監督だけに徐々に隠し切れない人情味が漏れ出てきて、特に三国連太郎との回想シーン辺りからは謎の感動をもたらす。
田中邦衛はもちろんだが財津一郎、清川虹子、小沢昭一、殿山泰司等々キャラ立役者の揃い踏みだけにもうちっと料理のしがいがあったのではないかと悔やまれる。あ、喜八翁の怪演もお見逃しなく。