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ロード・オブ・ウォーのJamesBondのレビュー・感想・評価

ロード・オブ・ウォー(2005年製作の映画)
3.0
なかなか良かった。武器商人、所謂「死の商人」をテーマにした社会派ドラマ。極めて重厚なテーマだが、娯楽性が高く割と観やすい。けど、後味がちょっと…。

人間同士の殺し合いを助長する「死の商人」には憤りを感じるものの、一方で仕方がないのか…という諦念も感じる。

「25人に1人がサイコパスである」という統計をどこかで見た記憶がある。程度の差こそあれ、人間的な良心を持ち合わせていないマイノリティが社会に存在している可能性があるということだろう。

そもそも法律や道徳、一般常識などの社会的ルールが、最大公約数的に作られた人工的なものだと考えるなら、「なんで武器を売っちゃダメなの??」って無邪気に言うマイノリティが存在するのはごく自然な気がする。下手をすれば「なんで人を殺しちゃダメなの??」って無邪気に言う強者もいるかもしれない。

社会的秩序を乱す行為は罰するに値しても、「無邪気なマイノリティさん」自体を「悪」とするのは何となく違和感がある。逆転の発想をすれば、現代のルールに適合しないサイコパス的性質を持って生まれたことが不憫であるとも考えられるし…。そんな風に思うところから、気持ち良く「けしからん!」と断定することができずにモヤモヤ感が残る。
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