湯っ子

飛行士の妻の湯っ子のレビュー・感想・評価

飛行士の妻(1980年製作の映画)
3.6
う〜ん、この映画は15歳のリュシーが優勝。
ウダウダぐずぐず言ってるオトナたちを尻目に、なんと聡明で快活なこと。おまけにとってもかわいくてチャーミング。フランソワを怒らせたリュシーのセリフは、たぶん全部正解。ひとは図星をつかれると怒るもんだ。
私だったらフランソワみたいな男は絶対嫌だ。でも、まじめで一途ではある。誰が一番悪いかって言ったら不倫男のクリスチャンなんだけど、アンヌもなかなかめんどくさい女。本命のクリスチャンにフラれたうっぷんを、若くてチョロいフランソワにぶつける。キッツイ言葉を浴びせかけ、その中でたま〜に笑ったり優しい言葉を投げるとフランソワがすぐに喜んで寄ってくる、それをシッシッ!と追い払う。まるでペットの調教、新興宗教の洗脳。これはまさにモラハラ、そして共依存の関係。画面に出てこないもうひとりの男も、たぶん同じような扱いなんだろうな。
そんな彼らには、どんよりとした空気が満ちていて重い気持ちになる。だからリュシーの恋する幸せに満ちた笑顔がキラッキラにまぶしかった。
あれを見て、フランソワは何を感じたんだろう、パリの街に呑み込まれていく後ろ姿がせつない。
湯っ子

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