このレビューはネタバレを含みます
デビューからまだ浅い妻夫木聡に
このいかにも現代っ子風の
無邪気な大学生のキャラが
とても似合っている。
美味しい料理に釣られて
ジョゼの家に入り込んでしまった後は
好奇心なのか哀れみなのか、
それとも本当に愛なのか、
分からない感情でジョゼとの交際が始まる。
実家へのドライブ中の2人の心の動きの描き方が胸に来る。
人生で何もかも初めての出来事の連続にいちいち反応するジョゼ。
可愛いと思いながらもだんだん面倒くさくなる。ジョゼが今までどんな風に暮らしてきたからこその反応なのか、恒夫には思いやることが出来ない。
そして行く先々で障害者と健常者の違いを感ぜずにはいられなくなる現実。
でも口ではジョゼをおんぶして
2人の将来に気を持たせるようなことを言う。なんて残酷な優しさ。
そんな恒夫の心の動きを理解して
もう恒夫の実家でなく、自分から
海に行こうと誘うジョゼ。切ない。
恒夫より何倍も大人なのだ。
そして全て分かっているのだ。
若さゆえの残酷な優しさ。
そしてやっぱり恒夫は逃げる。
よりによってあの女の子に。
でも別れたあとのあの涙もあの時の恒夫には真実なのだろう。
ジョゼにとっては最初で最後の宝物のような恋愛だったかもしれない。
でも恒夫は将来「昔、障害者の女の子と付き合ったことがあってさ」などと飲みの席で面白おかしく話したりするんだろうな。
そんなふうに感じさせる余韻がまた良かったりして。
最後逞しく1人で生きるジョゼの姿に救われた。