FumiKawaguchi

ジョゼと虎と魚たちのFumiKawaguchiのネタバレレビュー・内容・結末

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ジョゼはあくまでも恒夫との別れを覚悟していたんだ…。そういう恋愛って切ない。苦しい。それでも好きにならずにいられない。恒夫が自分の全てを背負えないことも全て知っているからこそ、結婚を否定し車椅子を拒むのだろう。少しの間だけでも、一緒にいれる時間は触れ合っていたい。そんな気持ちが溢れてきて、とても切ない。「帰れと言われて帰るようなやつは帰れ!」と言って泣くジョゼ。固く心を閉ざしたジョゼが、最初に見せた心の内側。なんか私までウルウルときてしまったよ。「俺が逃げた」恒夫の言葉にはリアリティがある。ハッピーエンドよりずっとリアリティがあって、だからこそ辛い。きっと、こういうものなんだ。せめて、歩道で泣き崩れる恒夫に救われた。恒夫は本気でジョゼを愛していたんだ。同情などではなく、ありったけの愛情で。ジョゼはまた深い海の底に戻ったのだろうか。でも最後車椅子で風を切って進む姿に、少しだけ光を見た。
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