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ジョゼと虎と魚たちのrのネタバレレビュー・内容・結末

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

理想や、好きという気持ちだけを考えて生きていけたらどんなに良いだろうと思うけれど、実際にそうやって生きるには、一つの理想に対して多くの手放さなければいけないものや超えなければいけない壁があって、それを恐れて、あきらめて、たくさん傷ついて、悔しがって、そうやって沢山の人が生きている。心の中に閉じ込めていた思い出がたとえバットエンドでも、その経験の中での温かい記憶も、愛おしい思い出も、怒りや悲しみもぜんぶ、こぼれ落としちゃいけない宝物なんだと思った。 つらくて、泣きたくなったとき、そこまでの道のりで感じたときめきや熱い感情を蔑ろにしたくない。自分の決心の連続を、明るいものも暗いものも、私が選んだ道なんだと受け入れる強さと、覚悟をいつだって持っていたい。
2人の愛おしい宝物に、かけがえのない特別な思い出は、たとえ一つでも大きな力で 自分を支えてくれるものになると教えてもらった。


絶対おいしいジョゼのごはん。押入れの下沢山の本とランプの秘密基地。引き戸に貼り付けられた色とりどりの切り抜き。和室に洋風のドレッサー。電気の紐にくくりつけられているお花。それから、2人の会話。愛で溢れている表情。波打ち際。車ではじゃぐジョゼ。貝殻のベット。浮かび上がる海の生き物。
切なくて温かい、人間くさくて清々しい。
ジョゼは幸せで大好きでも別れて生きる未来を想定していて、恒夫はずっと一緒に生きていく未来を想定していて、お互い大好きなのに見ている未来が違うところ、切なくて胸が締め付けられる。
特別でただ一つに見える愛でさえ、永遠とは限らない。けれど、消えてしまうことこそ永遠なのかもしれないと思った。
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