ずっとこの映画を観たかったので念願叶って観ることが出来ました。
チャン・イーモウ監督、コン・リー主演の映画です。公開されたのは30年以上も前の作品です。若きコン・リーの美しさが際立っています。
どういう映画かというと19歳の大学生の女性が家の為に見知らぬ家に嫁ぐんですが、この時代は裕福な家には正妻がいて嫁いでも第二、第三婦人がいる時代なんです。
主人公のスンリェンは陣という家に嫁ぐんですが第四婦人として嫁ぐ。一夫多妻制とは少し違くて昔の日本と同じでしょうね。正妻がいて第二婦人という名の妾さんですね。
当たり前ですが愛憎劇になっている反面。ほとんど女性同士の話なんです。陣家の慣わしなど風習が独特で面白い映画でした。
冒頭、コン・リーのアップで始まるんですけど、3分くらいのアップで物語る彼女の苦悩の情報量の多さが凄いです。オープニングのカットから凄かったですね。本作の方向性を決めつけるカットになっていて抜群でしたね。
この映画はチャン・イーモウ監督にとって【紅三部作】と云われていて、紅が映えるし美しい映像でした。黒澤明の赤の使い方も絶妙ですけど、チャン・イーモウ監督はデザインされた紅。映像も見事でしたね。季節ごとの章になっていて、時間経過と共に色も褪せていくのも美しいです。
この映画の旦那様が泊まりに来る婦人の部屋に紅い提灯を灯す慣わしなど、ストーリーも勿論面白いんですけど慣習が面白いです。
それと、この手の映画のヒロインってウブで純粋なヒロインが多いのに対してスンリェンは荒んでるし態度も悪い。どうせウブなヒロインが荒んでいくのを見せるならば最初から荒んでおくのは見事な脚本だと思います。ストーリーがダラダラしてないんです。ずっと面白い。見応えがある映画でした。
それとコン・リーの濡れ場のシーンも無いんです。
旦那様が灯す提灯というのは寝屋を共にする訳です。SEXのシーンがあるのが当然のストーリーだと思いましたが、役者が肌を見せなくてもちゃんと伝わる艶っぽさが本作にはあります。昨今、インティマシーコーディネーターなど役者への配慮を求めて良い時代になりました。ですが、本作の様に役者に負担をかけなくても監督の力量で充分に伝わるんです。コン・リーだけじゃなくて他の女優さんも特に肌を見せるのを要求された演出もなかったです。流石、チャン・イーモウ監督だと思いますね。
ダメな点、無駄な点が一切無い映画でした。大変素晴らしい作品だと思います。