ビョーキノオタク

エイリアン2のビョーキノオタクのレビュー・感想・評価

エイリアン2(1986年製作の映画)
5.0
間違いなく俺の人生を狂わせた作品。

これを小学生の時に見てしまってから、毎年夏休みとか冬休みになるとビデオで見てたよ…

「エイリアン」がホラーテイストで、光と影を使った「見えない怖さ」だったけど、この「2」では潔いまでに方向転換してアクション寄りになった。
「同じことをやっても前作は越えられない」とでも言いたげなジェームズキャメロンのセンスが光る。

前作「1」のラストが、人間に「種付け」して強制的に「出産」させる「男性器」を思わせるシルエットのモンスターに襲われるリプリー、という構図なのでリプリーは「女」のイメージが強かったけど、
今作は守るべき子ができ、「母」のイメージが強くなった。

敵対するエイリアン陣営もママン(クイーン)の登場で、母親vs母親という、どちらも負けられない戦いの構図になるのがアツい。

ところで、前作「1」には、劇場版ではカットされた未公開シーン(ディレクターズカット版で確認できる)に、エイリアンに襲撃された乗組員が、エイリアンの卵に変容しかけている所をリプリーが見つけてしまうというシーンがある。

つまり、「1」の監督リドリースコットの頭の中にあるエイリアンは、女王無しで生殖していく生態で、
「2」の監督ジェームズキャメロンの頭の中のエイリアンは、女王が卵を産んで増えていく生態。

シリーズ全ての整合性を保とうとするなら
、女王がいない環境でのみ女王無しで人間を媒体にして卵にする、と考えることもできるが、同監督の「プロメテウス」「コヴェナント」を見ると、やはりリドリースコットの頭の中ではエイリアンは神秘的な存在だと描きたかったのではないかと思ってしまう。

もちろん「2」は「2」で、映画としては最高レベルの面白さで、テンポや盛り上がりで言えばシリーズいちである。
実際、エイリアン2を観た人たちと話をしても、みんなどのシーンも印象的で記憶に残っているからであろう、大体どのシーンがああでこうでと会話がはずむ。

ヒックスやバスクェス、ビショップなどキャラが立っており印象的で(私はハドソンがいちばん好き)、
スマートガンやパルスライフルなど、架空銃のデザイン、射撃の音、動体探知機の演出などなど、物語だけでなく美術、音、デザインなど全てが記憶に残ってしまう。

万人受けもする、最高の映画だと主張したい。