青二歳

ど根性物語 銭(ぜに)の踊りの青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

市川崑シュールコメディ。勝新のアウトロー正義漢。秘密結社にその正義感を買われ殺し屋にスカウトされるタクシードライバー。シンプルにピカレスクなプログラムピクチュアかと思いきや、そこは市川崑&和田夏十。なんとも現実感のない不条理アクションムービー(?)に。間の取り方や台詞回しはコメディとも思えるような…なんとも不思議。いえ、大映に東映みたいなアクションは出来ないからピカレスクロマンって感じにならんし市川崑にそんなもの期待してないんですけども。

特に現実感のあるようなないような刑事課の三人がまたおかしい(潮万太郎贔屓なので)。殺し屋チームは元憲兵中尉の浜村純、歴とした日本人だ!と怒るロイ・ジェームズ、船越英二がまぁ怪しさ抜群。「作るのも僕、壊すのも僕…」とボヤく船越英二に萌える。船越英二って本当出来ない役ないんじゃないか。さらに唐突な謎の女江利チエミやひき逃げ犯もどーにも可笑しいし。自分にとっては勅使河原の“燃え尽きた地図”よりシュールでした(ラストが似てる)。いや単にプログラムピクチュアだろっていやそうなんですけども。うーん…やっぱりシュールなコメディというのが一度しっくり来る。

宮川一夫の力量全開で、小物類含めどこまでフレームに収めるんだという計算されたオシャレな構図もまた却って可笑しい。大映の照明伊藤幸夫さんも市川崑好みの影を作るんだが、その巧さと話の不条理さがなんとも言い難い味わいに。ちなみに音楽はハナ肇らしい。ドラムのシンバルが印象的。
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