調伏系V魔虚羅

サンタ・サングレ/聖なる血の調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

4.3
両腕の無い少女像を崇拝する異端宗派”SANTA SANGRE“の狂信的司祭である母と、彼女を偶像的存在として自身の一部であるかの様に受け入れ、言われるがままに殺人を繰り返し、父との争いで両腕を失った母の腕となる息子。
身体・精神的な支配からの解放。母という存在に縛られる子の親離れを異質な宗教による恐怖と猟奇的な殺人描写を交え、芸術的に魅せる。従来の作品に見る、ホドロフスキーの頭の中を其の儘体現したかの様な抽象的且つ哲学的な小難しいイメージを殆ど捨て去った事により成された、比較的分かりやすくも深い物語展開。製作・脚本を担当するクラウディオ・アルジェントが指向する、意匠を凝らした映像美とパノラミックな地獄絵図が混じり合う映像面での素晴らしさ。監督自身「初めて観客の為に製作した」と語る本作は見事な大衆向け感動作に昇華していると感じた。
「邪悪な悪魔の血でさえも天使の存在を思い浮かべる美しい瞬間がある」
調伏系V魔虚羅

調伏系V魔虚羅