Jeffrey

小人の饗宴のJeffreyのレビュー・感想・評価

小人の饗宴(1970年製作の映画)
4.0
‪ 「小人の饗宴」

久々にヘルツォークの傑作モノクロ映画をブルーレイで鑑賞したけど良い。今の世の中、「小人」と言う言葉を使うのに躊躇がある人も多くいるだろう。そんな小人をあえて使わせてこの作品を説明させてもらうが、この作品の世界観はミニサイズである。というのも標準サイズが実に(小人)なのだ。もちろん、健常者とされる普通の人間と言われる人物が、この作品には登場しない。登場したとしても、それは写真の中だけである。そうしたこのトラウマ映画にもよく挙げられるモノクロ映画のヘルツォークの1970年代の傑作、と言うよりかは「怪作」といった方が妥当だと思う本作は、ディズニー映画の「白雪姫」に出てくるような可愛らしい小人の軍団が現れるわけではなく、そこにはアウトロー(無法者)のミニサイズの人間たちによるグロテスクなある事柄=暴動が起きる話であり、外界も世界標準は小人で通されている。

世界的に知られている小人役者と言えば現在48歳のアメリカ人俳優ピーター・ディンクレイジだと思うが、小人と言えば、60年代の新しい波の先駆けの1人とされるジャン=リュック・ゴダールのヌーヴェル・ヴァーグの傑作と名高い「気狂いピエロ」にも出ていることを思い出す。その他にもデビット・リンチの作品だったり、シュルレアルの極みとして小人を出演させる映画作家(監督)はわりかしに存在する。そんな中で、ヘルツォークは小人一択でこの小宇宙的な、言わば情報の非対称性の如くの世界観の中に観客を放り投げ、我々に問いかける。映像に映るのはあまりにもグロテスクな野蛮な行為。
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