2020年109本目
久々のイラン映画。
超傑作。
誤って持って帰った友人のノートを返しにいくだけの話。
だけど徹底して子供の目線から捉えられた本作では、一つの冒険に仕上がっている。
アハマッドの真剣な顔つきがとっても可愛い！
教師・親をはじめ周囲の大人は形式的なことばかりに執着し、とにかく理不尽。
みんな自分の立場からしか考えず、子供を一切意に介さないのに腹立たしさを覚える。
その分、唯一優しい家具職人のお爺さんにほっこり😊
本作の描写はちょっと極端かもだけど、日本でも意味を失った形式が目的化して、非人間的になっていることは沢山ありそう。
そして映像が素晴らしすぎた…
街、生活する人々、ジグザグ道。
全てのシーンで画面の切り取り方が芸術的で、絵画のように計算された美しさがあった。
小さなアハマッドの周りに映る人々や街並みの背景に、色んな歴史やストーリーがありそうな感じも良い。
音声面でも、洗濯の音から動物の鳴き声、なびく草木のさわぎまで、自然な音を丁寧に漏らさず拾っている。
アハマッドを取り巻く風や香りを感じられ、作品に没入できた。
こんな素晴らしい出来だと、ジグザグ道三部作の他の作品も観たくなりますね。
