ポンコツ娘萌え萌え同盟

怪談鬼火の沼のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

怪談鬼火の沼(1963年製作の映画)
4.0
人のドロドロとした思惑が渦巻く家とクズだらけの登場人物の中に一人だけそこから外れたように可憐な侍女、八重の姿。
白い牡丹に囲まれた彼女の美しさを見ればこの家のものとは思えないほどだが、しかし彼女を失ったとき物語は怪奇を交え更に混乱を招く。
とはいえこの物語の呪縛は八重の呪縛だけでなく最初から始まっていたのだ。

タイトルに怪談とは付いてるけど、怪奇的な映像から、死霊の存在感を持たせたるような怪奇的な中盤〜後半の物語の一方で、本作に流れるサスペンス的な部分が妙に怪奇性よりも"人の話"の部分が強く感じ違和感を感じる。
だけど廃屋に咲く白い牡丹を見る限り、やはり真の怪談は人の呪縛にこそあると思わせてくる。
それにしても本作の怪奇は認識だ。認識者が対象者が死んでいると記憶してかつその後に対象者の姿を見たときころっと怪奇へと落ちる。

死霊が現れたりホラー的な演出を見せるもそれ以外の映像も楽しめる。上述した白い牡丹の八重の美しさもあるが、他にもクソ坊主を毒殺しようとしたところのお蓮の顔ドアップも面白いけど、何より雨の中で三郎太が清蔵を殺害しようとする場面。
だってしとしと雨が降る中で凶行に走るんだ、雨が降る時代劇が好きなのでたまらん。とは一回通してみるとなんか滑稽に見えてくるの面白い。