ロボットおじいちゃん・コンピューターおばあちゃん
脚本・大友克洋×キャラクターデザイン・江口寿史のバブリー作品。大友克洋の重厚な世界観に対して洗練されライトタッチな江口寿史のキャラクターが映える。
『AKIRA』で若者の暴走を描いたのと同じ手法で今度は老人の暴走を描いている。ノスタルジックな記憶から始まるHAL 9000オマージュのコンピューターの暴走は昭和の夏の穏やかな記憶を求めてノンストップで突き進むが、ごちゃついた脚本で次第になぜ暴走しているのか、なにが暴走しているのかよくわからなくなってくる。
江口寿史のデザインは洗練されていると同時に軽さがあり、リアクションは鳥山明のキャラのようだったりする。また、介護ベッドやコンピューター老人会のネタ、ラストのオチはまるで「こち亀」で、大友克洋の作品性とはミスマッチが見られる。
しかし、90年代初頭のバブリーで退廃的な雰囲気を味わえる演出の数々や独創的なストーリー展開、トランスフォームするロボットおじいちゃんの造形などのおかげで十二分に楽しめる。