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竜馬暗殺のENDOのレビュー・感想・評価

竜馬暗殺(1974年製作の映画)
4.2
ええじゃないかに扮するギラギラの三角関係に女との関係は背景化する。竜馬が惚れ抜く幡は何となくこの世のものとは思えない。河辺で目覚めたときに隣にいる竜馬に抱きついている中岡の乙女心。石橋蓮司がひたすらに竜馬を愛し抜く。竜馬の厭世観は内ゲバに辟易した心疲れ。自国の土佐藩だけでなく薩長の刺客も押し寄せる。倒幕派を倒し、日本転覆を語る誇大妄想に風邪が追い討ちをかける。薩長の亡霊どもが未だに蔓延る日本。武家は無くなれど、明治から脈々と続く政治家の世襲の始まり。諸悪の根源。未だに権力の椅子は一部の人間だけのものだと痛感するこの頃。竜馬の憂鬱は全く普遍的な日本の病巣を抉る。天皇交代劇でその権威を利用する狡猾さは未だ健在。原田芳雄はいつも燻っているが、立ち向かう勇気を。散りゆく美学に浸らぬよう。
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