チッコーネ

酔画仙のチッコーネのレビュー・感想・評価

酔画仙(2002年製作の映画)
3.5
朝鮮王朝末期に活躍した画家・張承業の伝記映画。
欧州の画家は時代ごとの体系が確立されているものだが、韓国の画家については全く知らないので、興味深く鑑賞。
中国からの影響と朝鮮独自の画風をミックスしつつ、自己の作風を確立しようともがくアーティストの孤独な奮闘が、パンソリの調べと共に描かれる。

前半はクローズショット多めだが、細かく撮影された美しい自然の風景が効果的にインサートされる。
中盤から登場するロングショットの背景は、CGかと目を疑うほど雄大…、制作当時の韓国の田舎には、まだすごい景観が残っていたようだ。

賤民から宮廷画家にまで上り詰めるも、束縛を嫌う張承業のパンクな奇行は存分に描きつつ、全体を大らかな雰囲気で包み込む。
ワンカットは短く観進めやすいが、現代のせわしなさを取り込んだネオ時代劇ではなくあくまで重厚、スタンダードな作風だった。