ヘイミッチ

エレファントのヘイミッチのネタバレレビュー・内容・結末

エレファント(2003年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

授業の課題で観た
題材が題材なだけに、これを半強制的な場で観せるのはあまり良くないなーと臆病者は思った。時間の面白い描き方がテーマの授業だったけどそんなん他にもいい映画あるし。
そんな訳で心の準備もできていないまま、年末の心理状態で心臓バクバク言わせながら見届けました。

でもいつか見ようと思ってた本作を、自分から観ることは一生無かったかもだからこれも良い機会だと思うことにした。

この映画の面白いとこは、登場人物一人につきワンカットで撮られたリアル尺の長回し映像と、そんな彼らが交差する瞬間を作ることで、一つの物語としてのタイムラインを形成している構成力だろう。
 
だので、最初のジョンパートでは襲撃班二人組が校舎に入る決定的な瞬間や、その他登場人物とすれ違う瞬間を多く内包しており、タイムラインを認識する上で基準となる役割を負っているといえる。
 
まるでシナリオ・アドベンチャーゲームの様に、複数の目線で"その日"を描くことができるのは、高校の校舎という多くの人々が行き交う閉ざされたフィールドが舞台だからこそなせる技。監督は実際に事件が起きた舞台からこの構成を思いついたのではないかと推察してみたりする。

またワンカットには編集など入るはずのない現実のライブ感を演出する効果があるのなら、実際の事件を扱うには持ってこいだろう。
日常が非日常になる瞬間は、面白みのない淡々としたリアルを常に映していただけに、より衝撃的だった。

人物を背後から写し追いかけていくカメラワークもまんまゲームの三人称視点で、それは努めて客観的な姿勢でもあり、監督による意思表示が全く存在しないのが正に実録といった印象を与えてくる。

悲惨な事件を脚色しないで見せるのがとてもいいと思った。だって、それ自体がどうしようもなく悲惨なのだから。犯人も、映画映する劇的なバックグラウンドなんて持って無かったんだし。