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ミラノ、愛に生きるのsaiのレビュー・感想・評価

ミラノ、愛に生きる(2009年製作の映画)
3.5
遂に「君の名前で僕を呼んで」が日本で上映始まったので、折角なのでルカ・グァダニーノ監督の作品を鑑賞。

一言で言うと、拘りが物凄く詰まっている作品。
シーンのカットや音楽などで語り、台詞では殆ど語らない。視線や自然の音、遠くから聞こえる声、寄り気味に撮った自然のものたちや顔、手などで感情の高ぶりや荒れを表現している。
今までに観たことのない表現。劇的な山場の作り方・表現が秀逸。

序盤、エドアルドの誕生日会にエドアルドJr.が恋人を招くシーンでは調理場のスタッフやそれぞれの人物をそれぞれに淡々と追い、雪降る外は彩度を抑えめに移す。
アントニオとの出会いは結構あっさり。
けれど、アントニオの料理を堪能し、感動に震えているエンマのシーン(ここも絵だけで感動ぶりを見せている)でようやく彼の存在の大きさが強調されてくる。
ロシアでの記憶や娘の秘密、アントニオへの想いで、エンマも自身が持つ思いに向き合っていき、駆け抜けるようなあのラストの盛り上がり。

正直舞台のクライマックスのような劇的なラストにグッと来ました。ティルダの美しさに留まらず、作品全体が美しい。
これは「君の名前で〜」も期待できます。
sai

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