モモモ

サマーウォーズのモモモのレビュー・感想・評価

サマーウォーズ(2009年製作の映画)
4.3
中学生以来の再鑑賞。
Blu-rayを持っていながら、何故か家では再生せず。
マイベストは「時をかける少女」が不動ですが「大衆向けエンタメ作品」としての強度だけで言えば細田監督作品ベストの1作だな…と感じる楽しい劇場体験だった。
中学生の時は別段そんな感情は抱かなかったのだが「血統史上主義」的作風や「母性史上主義」的テーマには若干の拒絶感を抱きつつ…そうした数々の美化性すらも「2009年の夏映画」に想いを馳せる要素になっているも思う。
お婆ちゃんが国の中枢とのネットワークを持ち過ぎな展開には初鑑賞時には「そんなバカな!!」と思ったものだが、今となってみれば「土地持ちの由緒正しい血縁の裕福な老婆」がズブズブってのは…バカな話でもないですね…これぞ日本ですね…。
最終的にOZの利用者達が総出で駆けつけて命を託す「インターネットの善意」を信じるような展開は今の時代では誰も描かないだろう。
テクノロジーへの無邪気な信頼こそ、我々が失ってしまった「日本の姿」の1つだったのかもしれない。
ボーイミーツガールに、ネット仮想空間での超人バトルに、怪獣映画演出に、共同戦線でのゲーム遊びに、ありとあらゆる「日本産エンタメアニメ」の要素を詰めた1作が面白くない訳が無い。
「時をかける少女」と同じく、脚本の構造の強度に感嘆するばかりだ。
「なんだ!?時をかける少女!?」なファーストカットからサッと導入を済ませて「大家族の中に放り込まれる無関係な僕」と言う王道青春アニメパートからアカウントハッキングから始まる「異変」を告げる一幕目。
想定以上のパニック、家族の柱である婆ちゃんの死去、そこから準主役カズマを軸に反撃に転じるが…な二幕目。
家族全員で勝負だ!!!で花札→カズマ→数学の怒涛のトリプル主人公大円団最終バトルで締めてボーイミーツガールに帰還する三幕目。
状況説明、心情説明を「野球」に絡めて軽快さを加える小技も憎いですよね…。
血液史上主義!!な作品の中で最後の決め手になるのが「爺さんの妾の子」と「全くの部外者である主人公」な所が本作のミソではないでしょうか。
婆ちゃんからしたら二人とも血縁は関係ない訳ですよ。
身内文化、家族史上主義だけでは自体は大円団とはならなかった訳です。
嫌われ者と部外者がいたからこそ、犠牲は出なかった、それが本作の真のメッセージではないでしょうか。
婆ちゃんに認めて貰いたかったおじさんのソレはマザコンなんですがね…それはまた別の問題として。
カズマの妙な可愛さにショタコンを、カズマと夏希のアバターにケモノ要素を、ここから細田守の「エンタメ大作でも趣味嗜好を隠さない旅」が始まったんですね。
スーパーサイヤ人、スーパーソニック的な「パワーアップと言えば金髪」が良い。
あと最後のほっぺにチューをめちゃくちゃ冷めた目で見てるカズマも良い。
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