日常離れしすぎた狂気や、とち狂った強い復讐心、過度なアクション、昨今はそのような映画が多く、そして話題をよく集める。
今作で描かれるのは、1人の老いた男性と1人の野心的な女性の関わりである。
互いに噛み合わない2人が時間をかけて理解し合い、血のつながりはなくとも本当の親子のように互いを想い支え始める。
寡黙なガンマンの印象が強いイーストウッドが相手を慈しみ、それゆえ苦悩する姿・演技には言葉を失う。
緻密な構成がなされていることは確かだが、今作を観終えたあと、今作は登場人物たちの喜びや葛藤のあるリアルな人生そのもののように感じてしまい「構成」というワードに違和感さえ覚える。
冒頭で述べたような蛇足的なファンサは今作では一切組み込まれていない。純粋に描かれた「生きる姿」に冒頭から引き込まれ、鑑賞するこちら側も、登場人物たちの感情を追体験させられる。
間違いなく映画史に残る一作だろう。
