モ・クシュラとレモンパイ。
多層的で、観る時々によってどの部分に気持ちを動かされるのかが変わる作品だと思う。
前に初めて観た10代の時なんかは、何を間違ったのかロッキー的なのをつい想像してしまってたから、終わってみればひたすら悲しい話だった印象しかなかった。
今観るとね、また印象も変わって特に強く感じるのはこの映画のマギーという1人の“ファイター”が己の尊厳を守る為に最後まで闘い抜いた話として、倫理の正否はともかくとして個人的には本当によく頑張ったと拍手したいぐらいの気持ちだった。
そしてもちろんその為に代償を払った敬虔なカトリックの男の罪と罰の悲しみの話でもあり、または光と陰、天国と地獄、後悔と満足、そして父と娘の話でもある。
この作品がすごいのは今言ったようなこの相反し合うものが同じ分量と強さで突き付けられながらも最後には混ざって、相殺するのでは無く別の第3の形になって収まるところに収まってしまうんだよね。
その色々な第3の形の全ての収まりを“小屋”で表すラストショットは見事だった。
あ、観る時々によって変わると言ったけど、マギーの家族に腑煮え繰り返るのだけはいつ観ても変わらないだろうなあ。笑