Newman

いちご白書のNewmanのレビュー・感想・評価

いちご白書(1970年製作の映画)
3.5
「『いちご白書』をもう一度」という歌であまりに有名で伝説的な映画と思っていたので楽しみでした。学生運動の背景にあったものに切り込んでくれていないように思いました。止むに止まれずに学生運動に走った背景が見えて来ないまま大学構内に立て籠もることになっているように見えたのです。確かに日本の学生運動も時代に流されて参加した学生もたくさんいたとは思うが。それでも最後の場面は、衝撃的でした。学生側とは違い、州兵の側には組織力もあるし、絶対に勝たなければならない仕事としてやっているのだから学生が勝てるわけもない。ただ日本の学生運動は、警察と戦う姿勢があったように思うがこの映画の学生は武器を手にすることもなかったのだが。世界各国の学生運動が日本に飛び火し、東大の安田講堂事件やらの後、過激分子はより先鋭化し地下に潜り浅間山荘事件を起こしたりした。その後、事件を起こした彼らが総括の名の下に、同じ仲間を殺害している事実が分かるようになると、学生も運動に嫌気がさしたり、学生運動に同情的だった多くの一般大衆もこれは違うと思うようになったりした。それ以降はオイルショックがあったり、学生の数が増えて大学卒が当たり前になってしまうとより良い就職をするために文科系でも授業に出席する学生が増えることになり、あっという間に「昔、この大学でも学生運動があった」ということになった。アメリカの学生運動はどうだったのだろう。もうこの映画が上映された頃には、すでに運動が下火になってしまっていたためにアメリカでは評判を呼ばなかったと記憶しているのだが。
Newman

Newman