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ディレクターズカット ブレードランナー 最終版のKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

たった一つのシーンで作品全体のメッセージが劇的に変わることを体現した作品。

いや~面白いですねぇ!
これがかの有名な"ユニコーン"問題なんですね~。
デッカードはユニコーンを夢に見ます(一瞬なので見落としがちですが、本編42:40あたりです)。
たったこれだけでラストの折り紙の意味が全然変わりますね。

勿論折り紙を折ったのはガフです。では、どうしてガフはユニコーンを折ったのか。デッカードが誰にも言っていないはずの夢の内容をガフは知り得たのか。そうすると、やはりここから導くことができる結論は一つで、デッカードはレプリカントなんですね~。
非常に巧妙です。デッカードはレイチェルに植えられた記憶を知っている。それと同様にブレードランナーのガフもレプリカントのデッカードに植えられた記憶を知っている、と。

正直、US版とインターナショナル版ではユニコーンのシーンがないので、デッカードがレプリカントであると断言することは出来ないと思います。だから、その二つのバージョンでは、作品のメッセージは「自分は何者か」「生きること、愛することとは」が主であると思います。
しかし、ディレクターズカット版ではユニコーンのシーンが追加されたことで、デッカードがレプリカントであると示唆されます。複雑な入れ子構造により、作品のメッセージはさらにSF性を増したものに変化します。ここがとっても面白い!

だからUS版とインターナショナル版ではデッカード・レプリカント説は押せないけど、ディレクターズカット版とファイナルカット版(まだ観てないけど)では押せるってのが、デッカード論争に対する僕なりの答えですかね。



参考
・SCREEN RANT, Blade Runner: Deckard's Unicorn Dream Sequence Explained, https://screenrant.com/blade-runner-movie-deckard-unicorn-dream-meaning-explained/
・THE RIVER, 『ブレードランナー』ラスト、ガフの名ゼリフは俳優の即興だった「本編に残るなんて思いませんでした」, https://theriver.jp/blade-runner-gaff-improvised/
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