このレビューはネタバレを含みます
「記憶(思い出といったほうが正確か。英語ではmemoryといっていたのでまさにどちらでもあてはまるが)がないこと」と「死への恐怖(=記憶がなくなること)」という、本来機械にはない(?)感情がテーマとなっているところがいい。
レイチェル=レプリカントとのキスシーンは何となく倒錯的でもあり感動的でもある。レイチェルのようなレプリカントがあらわれ人間がそれに対して特別な感情を持つことを許容してしまったら(デッカーはそうしたわけだが)、人間とレプリカントの本質的な差というのはなにになるのだろうか?遠くの人間よりも近くのレプリカント?
通常版ではロイ(ルトガー・ハウアー)が「死んだ」あと、デッカーのモノローグが入り、それがちょっと説明的に過ぎるようなものだった記憶があるのだが、このバージョンでは一切なかった。やはりこちらのほうが想像力をかき立てられていいと思う。