Jeffrey

あなただけ今晩はのJeffreyのレビュー・感想・評価

あなただけ今晩は(1963年製作の映画)
3.8
「あなただけ今晩は」

本作は1963年にビリー・ワイルダーが監督し、彼とI・A・L・ダイアモンドが脚本を執筆した米国映画で、この度国内でBDが発売され購入して初鑑賞したが良かった。どうやら「アパートの鍵貸します」のスタッフとキャストが関わって制作された作品で、アンドレ・プレヴィンがアカデミー賞音楽賞受賞した1本である。逸話によると当初主演の女優はマリリン・モンローに決めていたようだが、彼女が不慮の事故によって亡くなられてしまい、それは叶うことができなかったそうだ。今回は日曜洋画劇場の吹き替え収録ではなく1983年6月9日に放送されたTBS「SONY PRESENTS 名作洋画ノーカット10週」が収録されている。

この作品は戯曲作家のブレフォールが自作をかなり楽しめるものと考え自信を持っていたみたいで、結構演出家に断られたらしいが、なんとかグラモン劇場で採用されて、上映して、およそ4年の間にロングランで1000回近くの上映をこなして、メキシコでも上演され大ヒットして、当時フランス製舞台劇としては珍しかったそうだこのヒットの仕方が。どうやらほぼ原作通りに作られているようだが、映画版ではミュージカル要素がなくなり、舞台はモンマルトルからレ・アール(中央市場が見えている所)などに変更されたりしている。それから本来はマリリン・モンローが主演を務めるように構想されていたが、それは亡くなったみたいだ(理由は彼女の急死によるもの)もしモンローが出演していれば、「お熱いのがお好き」に続いて、撮影現場レベルではモンロー、ワイルダー、ジャック・レモンのトリオが再集結するはずだったとの事…。

さて、物語はパリの娼婦街をパトロールする真面目な新人警官のネスターは、ある日ガサ入れに向かったホテルでお楽しみ中の上司と遭遇してしまい、即クビになってしまう。その夜、売れっ子の娼婦のイルマと親しくなり恋に落ちる。ヒモ同然の生活を送るねネスターは、なんとかイルマに今の仕事を辞めてもらえないかと、妙案を思いつくのだが…と簡単に説明するとこんな感じで、監督ワイルダー、主演ジャック・レモンとシャーリー・マクレーンの「アパートの鍵貸します」のトリオが再び組んだ傑作ラブコメディで、同名のブロードウェイミュージカルを映画化して大ヒットを記録してる。マクレーンは本作でゴールデングローブ女優賞を見事受賞し、高い評価を受けたそうだ。冒頭のスタッフロールのシーンで小挟みで流れるシャーリー・マクレーン演じる女性の小悪魔的な哀れ話によって、金を男からせしめるシーン面白い。その後にパリの凱旋門が映り込み、明朝のパリの整備された街並みがナレーションで映される。


とにかくうるさい娼婦の女性たちと警察の車に乗せられるジャック・レモン演じる警察官とのやりとりが喜劇である。さて、この映画は米国映画なのだが、原作はフランス語である。本作のヒロインの通称で、日本語にすると"甘い女イルマ"と言うらしい(映画評論家の遠山純生氏が言うには)。原作の大元をたどると、フランスのジャーナリスト/映画脚本家/戯曲作家アレクサンドル・ブレフォールが1950年代半ばごろに執筆した短い戯曲へと行きつくらしい。これに基づいて1956年にエディット・ピアフの専属作曲家でもあったマルグリッド・モノが音楽をつけてミュージカル化した作品が「イルマ・ラ・ドゥース」(映画の主人公の女性の通称)なのだ。140分もある映画で少し長いが見ても損はないと思う。
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