恐るべしジャックレモン。
彼の演技は素晴らしい。
同じメンツの「アパートの鍵貸します」が好きだったのでこちらも。
娼婦と恋に落ちた主人公は彼女に仕事をさせたくないという想いからある人物になりすますように。そして思いもよらぬ出来事が起きてしまう。
娼婦のヒモ男って昔の映画だとよく出てくるけど今の感覚だと色々と有り得ない！てなるよね。好きな男のために働きます！いや！働かせてください！好きな男には贅沢して楽して欲しいです！なんてメンタル....
この作品の主人公は娼婦に恋をして共に生活するようになるけど彼的にはやはり「彼女には自分だけ」が良い。
だからお金は陰で自分で作って金持ちイギリス人になりきり、自分だけを相手にするように彼女を仕向ける。
血みどろになって得た大金を彼女に支払い、彼女は主人公との生活にそのお金を充てる...というサイクルが始まる。
主人公はイギリス人に扮装するわけだから当然いろいろ弊害が出てくるってワケ。
本人とバレて一悶着？と思いきや、それより大変なことになってしまう。
話もなかなか面白くって意外にも先が読めない。最後のたたみかけるような話の展開はとても良かった。
昔の映画なので「女の幸せ🟰結婚と妊娠」みたいな感じの終わり方なのはまあしゃあないね。
色彩もとてもよくってマクレーン演じるイルマのお部屋も小さいながら置いてるモンも色合いもオシャ！で可愛いし、
彼女やそのペットのイッヌが身につける濃いグリーンはパリの柔らかい色合いの街並みの中にとても映えていて、素敵。
意志が強く賢い彼女のパキッとした存在感を見事に演出してますよね。
あんな下着丸見えの上品とは言えない格好をしているのに下品になりすぎず自然と見れてしまう着こなしはさすがです。
ジャックレモンは相変わらず可愛くて笑顔が癒しでアンタが1番可愛いよ、と思って見てました。
コメディなのでそれらしくアクション、リアクションが大げさでお笑いを見ている感じはちょっと気になったけど笑
それもまた良いのかも。この作品では色々な格好や人格の彼が見れて楽しい。
これは1963年の作品で2時間半近い長さです。一つ一つのシーンを丁寧に時間をかけてみせてくれるし間を大切にしている作品だと思います。しかも退屈じゃない。
ゆっくりと時間を過ごす、というのは変な話、現代人には無くなってきていると思う。
何時間も平気でスマホを弄り膨大な情報を爆速で見るがその大体が自分の本当の知識として残ることがない、と思う。「色々と見た」がある意味の満足になるのかしら。
かくいうワシも時間がない(と思う)ので短めでテンポが良さそうな作品をついつい選んでしまう。それも良いんだけどね。
今はセカセカしている人で溢れている情報化社会。そうではなかった時代を生きていた人たちはゆっくり時間をかけて話を追っていく楽しみを知っているのだなぁ、と昔の作品を観ていつも思います。
時間がある時は少し長めの名作を観ると、いい時間を過ごせたなと、贅沢でいい気分になって、不思議と心に余裕が出てきます。
行動で時間の感覚を操作できるのは知っているので、映画鑑賞はいい手段かもなあ〜。
