Shelby

あなただけ今晩はのShelbyのレビュー・感想・評価

あなただけ今晩は(1963年製作の映画)
3.9
花の都、パリに赴任してきた生真面目な男ネスター。パリでは警官に賄賂を握らせることによって黙認されてきた売春行為を自分の正義に従って、一斉に取り締まったことで、赴任初日で解雇。
そこで取り締まった売春婦達の中の一人、イルマに出会い、あっという間に虜になってしまう。イルマの新しいヒモになり、幸せな日々を過ごすも、イルマは彼氏に貢ぐために仕事を頑張りたい女。ネスターの嫉妬もよそに、せっせと毎日客を取りまくる。そんなイルマの姿に、ネスターは自分が〝富豪の英国紳士X卿〟になりすまし、彼女の太客になることで、客を取らなくて済むのではないかというなんともトンチキな考えを生み出す。そしてそれがとんでもない方向へ動きだし...というあらすじ。

話としてはなんてことない、ただのコメディなので気軽に見れる。しかし、一つ一つの描写が長いため中弛み感は否めないのが少々惜しいところではある。
関西人ではないのに「なんでやねん。」が連発する展開。途中までは、なんなのこの人達...と冷ややかな笑いが続く。ああ、はずれだったかな?と不安を持ったのも束の間、ラストに向けて今までのはなんだったのかと言わんばかりの大爆笑。
怒涛のクライマックス。ただただ、喜劇と呼ぶに相応しい作品。言っちゃあなんだけど現実では有り得ないし、映画的展開なんだけれどもここまで突き抜けちゃうと嫌いじゃない。
ネスターが牢屋の鉄格子曲げて脱走図るシーンとか、個人的にはお気に入り。

イルマの毛量の多いくるくるパーマ頭とグリーンをベースにした服装。そしてネスターの癖のある顔つき。2人して段々とキュートに見えてくる。
そんな不思議な魅力を持つ作品。ラストスパートがこんなにもぶっ飛んでるなんて想像もしてなかったので良い意味で裏切られてしまった。ビリーワイルダー最高。
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