のり

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-ののりのレビュー・感想・評価

3.8
実話が基になっていて、リアリズムが徹底されている。音楽、俳優、ドラマ性をなるたけ削ぎ落とし、〝脱獄〟という行為のみに焦点を当てている。さらに作業する手など行為の描写が多く、まるで自分が行なっているような感覚を覚える。全てはリアリズムのために演出がなされていて、映画としてはシンプルで地味だが、緊張感は最後まで持続する。

近年の代表的な脱獄物は同室の囚人に穴を掘られたり(下ネタの方)、仲間の裏切りがあったりと、人間の汚らしい場面が散りばめられているが、本作では囚人同士のちょっとした絆という人間として無くてはならないテーマが描かれている所がいい。

VHS鑑賞のため、映像の粗さは目立たった。また暗さに関してはそのせいなのか演出なのかは分からないがどっちにしても少し暗過ぎた気がする。牢屋の閉塞感は出るものの、主人公の動作で多少見辛い部分があった。
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