男はくらいよ監督さそり

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-の男はくらいよ監督さそりのレビュー・感想・評価

5.0
映画史の中でも最も完璧な映画の一本。既に完成されたシンプルなブレッソンのスタイルが脱獄映画というジャンルに向かった時、完全無欠のサスペンス映画となった。ナチスの収容所に投獄された囚人が如何に脱獄の計画を立てて行動に移すかを一秒の隙もなく緻密に描く。主演俳優の鋭い目つきと華奢な肉体が、これで脱獄出来るのか?と不安感を募らす。極限状況に追い込まれた人間の知恵や努力は途轍もない力を発揮し、希望を失わない事の凄さを伝えるが、この男自体が相当に頭いい優秀な人なんだな。しかも実話。他の登場人物も殆ど情報が無いので顔でしか判断出来ない。このスタイルが後に少女ムシェット、白夜等の傑作へと引き継がれてゆく。脱獄映画としても大脱走、アルカトラズからの脱出等に多大な影響を与えている。素晴らしい!