TaiRa

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-のTaiRaのレビュー・感想・評価

5.0
2020年入ってやっと映画観た。『メタルギアソリッド』ハードモードを初見ノーミスクリアしなきゃいけないみたいな映画。宇宙一面白い。

ブレッソンのミニマルなスタイルが、その物語/モチーフを描くのに最も適した手法だったというのがよく分かる。特に初期。ナチスに囚われた男が脱獄を計画し、一人コツコツ頑張る。この「コツコツ」の部分が淡々と描かれる映画。古今東西あらゆる脱獄映画があるけど、脱獄のプロセスを純粋に楽しませるという意味ではこれが一番かも。主人公の認知出来る範囲しか描かれない事によって増すスリル。危険の合図は看守の足音のみ。やはりゲーム性高い。正しいタイミングで行動しないと一発アウト。冒頭、走行中の車中から脱走のタイミングを図る部分からして丹念。脱走失敗を伝えるのも音のみ。音の映画だから劇場向きではある。最低でもヘッドホンで。物語が静寂を要請しているので尚更。作業の音もどれもフェティッシュ。主人公が他の囚人らに希望を与えようとする様はあらゆる脱獄映画と共通する。たとえ無様でも、失敗して殺されたとしても、世界の不条理に抵抗する姿勢は他者に生きる希望を与える。脱獄をやり遂げた二人が静かに達成感を共有する姿はこの上なく感動的。
TaiRa

TaiRa