犬ヶ島のウェス・アンダーソン監督、日本での初公開作。
かつて天才と称されたテネンバウム家の3人の子ども達。長男チャスはビジネスマンとして、長女マーゴは劇作家として、次男リッチーはプロテニスプレーヤーとして、若くしてそれぞれが才能を発揮。しかし、父ロイヤル(ジーン・ハックマン)と母エセル(アンジェリカ・ヒューストン)が離婚した事で、家族は疎遠となった。22年の月日が流れ、胃癌を患い6週間の余命を告げられた父が、家族とやり直したいと戻って来る。
アバンタイトルからして、映画がまるまる一冊の本の様。アレック・ボールドウィンによるナレーションで幕を開け、両親の離婚話のシーンからHey Judeが流れる。始まりからしてウェス・アンダーソンの拘りが透けて見える。
そして一癖も二癖もある家族達。
長男チャス(ベン・スティラー)は年がら年中真っ赤なadidasジャージに身を包み、2人の息子アリとウージもadidasスタイル。
長女マーゴ(グウィネス・パルトロー)は黒く縁取られたアイメイク、事情により右手薬指がなく、彼女が12歳から喫煙している事を家族の誰も知らない。
次男リッチー(ルーク・ウィルソン)はある試合で大敗を喫してからテニスを引退。一人、船旅に出ている。
特に長女を演じたグウィネス・パルトローの存在感が際立って良かった。
もう、何でadidasのジャージなんだとか、無表情ながら魅力的なマーゴだとか、リッチーが屋内にテントを張ってレコードを聴いている暮らしぶりとか、楽しくてしょうがない。
ロイヤルが孫達であるアリとウージを誘って、プールに飛び込んだり、ごみ収集車に飛び乗ったり、無邪気に遊び回る様子も楽しい!破天荒なロイヤルを演じたジーン・ハックマンの演技が痛快!
しかし、難点はやはりテンポ。
ウェス・アンダーソンの最大の長所であり短所。
起承転結の起伏が緩やかで、淡々と進むそのテンポにはあくびを噛み殺しながら鑑賞する事に。
とはいえ、最後は漫画の様なドタバタ劇の展開と消防車を舐める様に映し出す長回しのシーンなど見応えは十分。
色彩は美しく、
音楽のチョイスも最高。
まったりテンポで、
ゆるーく楽しむウェス・アンダーソン。
①犬ヶ島
②ムーンライト・キングダム
③ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
④ファンタスティック・Mr.FOX
⑤グランド・ブタペスト・ホテル
…の順で好き。