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億万長者のimaponのレビュー・感想・評価

億万長者(1954年製作の映画)
3.5
安部公房特集にて。
脚本にクレジットあるが抽象的な安部公房の初稿は大幅に書換えられているらしく、そこは残念だが市川崑の社会風刺ブラックコメディとして観れば良い。
芸者山田五十鈴をはじめとする速射砲台詞回しとテンポ良いカット割り。

小心者の税務署員木村功が1万円握らされ悩むが芸者に唆され悪事を暴き日本を変えると奮起する。
税務署員の汚職、政治の腐敗、格差、原爆被害、第五福竜丸などを風刺する。
1954年作品だから国会議事堂の見える風景や登場人物が無駄に子沢山だったりもするけど現代にも通じる物は沢山ある。なるほど左幸子の論説も現代の自己責任論と通底する。

原爆で両親を失い、平和を守るため自力で原爆製作に勤しむ少女久我美子。原爆完成に恐れをなし沼津まで走る健脚の木村功。

岡田英二は子沢山で貧しい信欽三と高橋とよの長男。年端の行かない弟たちと何やら体操している登場から可笑しい。食事の知らせに無邪気に走る姿。貧困を呪いながらも映画会社のニューフェイス。
左幸子が男前だが経済力無い岡田英二から正義感から人が変わったように働く木村功に乗り換えるのも良い。

キャストは何気に豪華。

岡田英二の白ブリーフ逃げ走りでエンド。ややまとまらないのもスラプスティックって事で。
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