TOTO

ワルキューレのTOTOのレビュー・感想・評価

ワルキューレ(2008年製作の映画)
3.0
『言葉の壁――』

7月4日生まれで、米海軍腕利きパイロットだった筈のトム・クルーズが、ドイツ人将校・シュタウフェンベルクを演じ、「ヒトラー暗殺計画」を描いた大作です。

監督は「ユージュアルサスペクツ」以降、なぜか子供向け映画ばかり撮らされて、この作品でようやく大人向け作品に戻って来れたブライアン・シンガー。主演のトム・クルーズと共にアメリカ人。
脇を固める俳優陣はほぼイギリス人。戦時中で言えばドイツの敵だらけです。
撮影の多くは実際に事件の起こった現場・史跡においてロケを行い、登場する建物や車輌も極力当時の本物が使われているそうです。
独裁者ヒトラーの「終わりの始まり」とも言えるドイツ史上非常に重要な史実の映画化に、あまりドイツ人は携わっていません。
言語も当然、英語です。

僕がデンマークや韓国の作品が好きな理由の一つに「言葉」があります。
もちろん意味はわからず字幕頼りですが、言葉のアクセントやニュアンスが、彼らの風貌や風景と溶け合い、その国ならではの色気を醸し出すと信じるからです。
だから古代ローマの人々や侍たちが英語で話してたりすると、感受性が氷点下まで下がって二度と戻らないのです。

この映画、当のドイツ人はどう思ったのだろう、と考えずに入れません。
言語を気にしなければ、重厚で、見応えのある作品です。
カメラワークも役者の演技・表情もお見事です。
TOTO

TOTO