TOTOさんの映画レビュー・感想・評価

TOTO

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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.0

「ジョディ・フォスターの沈黙ーー」

1991年の映画「羊たちの沈黙」は、トマス・ハリスの完璧な原作、テッド・タリーの誠実な脚本、ジョナサン・デミの秀逸な演出、そして彼の俳優生涯において最も称賛された
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ヴィジット(2015年製作の映画)

3.5

「そうやってすぐぶさけるのよくないーー」

「シックスセンス」で世間を震撼させた鬼才シャマランですが、シックス以降ずっと悪ふざけが続いてます。
しかしながら、久しぶりに鑑賞した「ヴィジット」は初見当時
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オオカミ狩り(2022年製作の映画)

2.0

「船頭多くして船、山でコケるーー」

公開前から楽しみだった。
今の韓国映画の力をまざまざと見せつけられるのだろうとも思っていた。
何より物語の設定が素晴らしい。
大勢の凶悪犯を大型船でフィリピンから
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クラッシュ(2004年製作の映画)

3.7

「善と悪と曖昧さ――」

もう20年前の作品なんですね。
2004年のアカデミー賞作品賞。
当時は、面白いし好きなタイプの映画だけど、でもオスカー作品賞? と微妙な気持ちになったのを覚えています。
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君がいた夏(1988年製作の映画)

4.5

「デヴィッド・フォスターによるメインテーマが涙を誘う――」

1988年の隠れた名作です。
監督はスティーブン・カンプマン。
主演はジョディ・フォスターとマーク・ハーモンです。
原題は『Stealin
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覗き屋(2022年製作の映画)

2.0

「看板に偽りあり――」

「のぞき屋」と来たら山本英夫の傑作コミックのタイトルだ。もちろん同じストーリーではなくとも、今の韓国映画のクリエイティブで同じテーマを扱ったらさぞ面白い作品になるだろう期待を
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KAMIKAZE TAXI(1995年製作の映画)

4.5

「役所広司の最高傑作――」

『PERFECT DAYS』でカンヌ最優秀男優賞を受賞した役所広司だけど、キャリア初期のこの作品における日系ペルー人・タクシードライバー役の芝居が、彼の最高傑作だと信じて
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非常宣言(2020年製作の映画)

2.0

「意味のない反日にはうんざりだ――」

今の韓国映画の勢いを表すかのように魅力的な俳優が揃っている。
なんといってもソ・ガンホとイ・ビョンホン競演が熱い。
ここに若手のホープ、イム・シワンが絡み、大物
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FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.5

「技術革新の足枷――」

CSでやってたので怖いもの見たさで鑑賞。高所恐怖症にはたまらない作品です。
劇場の大スクリーンで観たらさぞ迫力あるだろうとは思いますが、正直、2000円も払う価値は感じられま
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ベスト・セラーズ/小説家との旅路(2021年製作の映画)

2.7

「マイケル・ケインの無駄遣い――」

傾きかけた出版社を継いだ娘が、かつてベストセラーを飛ばした老作家を担ぎ出して数十年ぶりに新作を発表させ、二人で宣伝ツアーに出かけていく話……に特化した訳でもなく(
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ア・フュー・グッドメン(1992年製作の映画)

4.0

「金太郎飴的なニコルソン――」

仲村トオルを見るたびに毎回同じ芝居だなと思います。
ビーバップの頃からひとつも変わらない平べったい演技。いつも驚いたような話し方。それでもこれだけ需要があるんだから役
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

4.2

「Born in Japan,Made in Korea――」

土屋ガロン(狩撫麻礼)原作のコミックは90年代、B級感プンプンの「漫画アクション」に連載されていて、リアルタイムで近所の床屋で読んでい
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CHASE チェイス 猛追(2022年製作の映画)

2.5

「中2病の奥様――」

出張先ホテルの無料VODの中にあった唯一まともそうな作品。
けどこんな機会でもなきゃ一生観ないであろうクオリティでしたorz

ジェラルド・バトラー演じる主人公ウィルは不動産開
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.6

「近所の鮨屋に行くたびにこの監督の事を思い出す――」

俗に胸糞映画と言いますが、アリ・アスター監督作品はそういう意味で嫌な気持ちになりがちです。
まもなく『ポーはおそれている』が公開されるけど、きっ
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悪魔を見た(2010年製作の映画)

4.0

「悪魔は誰だ――」

ナ・ホンジン監督のデビュー作「チェイサー」で鈍器で頭を強く殴られたような衝撃を受けて以来、すっかりコリアン・ノワールの虜になった。
韓国には良い俳優が沢山いるけれど、この役者が出
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護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

東日本大震災後の東北を舞台に、生活保護問題に鋭くメスを入れるストーリー。
メガホンをとった瀬々敬久は、最近では横山秀夫『64』の緊張感溢れる筆致を見事、映像化した実力派監督。
主演は阿部寛。役柄は出世
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アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)

4.0

「シリーズ唯一の最高傑作――」

子供の頃から大のビートたけし信者だけど、映画作品について諸手を挙げて大絶賛では、決してない。
北野映画では「その男、凶暴につき」「キッズ・リターン」「3-4x10月」
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

『悔恨と郷愁――』

スティーブン・キングはつくづく幸運な作家だと思います。
その著作の多くが翻訳されているので、これまでにも結構な数の小説を読みましたが、まるっきり、何一つ記憶に残っちゃいません。
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コラテラル(2004年製作の映画)

4.0

コラテラル

「地下鉄で死んだ男がいる。でも誰も気付かない――」

高校生の頃に「マイアミバイス」で産湯に浸かった根っからのマイケル・マン・マニアなので、当然、この作品も公開時に観てるけど正直、当時は
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ワルキューレ(2008年製作の映画)

3.0

『言葉の壁――』

7月4日生まれで、米海軍腕利きパイロットだった筈のトム・クルーズが、ドイツ人将校・シュタウフェンベルクを演じ、「ヒトラー暗殺計画」を描いた大作です。

監督は「ユージュアルサスペク
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.0

『鬼才の夜明け――』

「悔しくてならなかった。正直、自分の脚本がガタガタにされた映画なんて駄作であればいいという屈折した思いがあった。映画を見終わり、遠くにいる北野監督と黙礼を交わし、蝉時雨が降りし
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L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)

4.4

『狂犬の筆――』

90年代の海外ミステリ、中でもクライムノベル、ハードボイルド、ノワール小説、そういったものにとことん嵌りました。
例えばジェイムズ・クラムリー、エルモア・レナード、そしてジェイムズ
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ブロークン・フラワーズ(2005年製作の映画)

4.4

『決して他人事ではない――』

ジム・ジャームッシュ監督『ブロークン・フラワーズ』(2006)
お得意のオフビートな展開と、ビル・マーレイの飄々とした演技、それに加えて脇を固めるジェフリー・ライトやシ
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バベル(2006年製作の映画)

4.0

『この監督の名前をうまく言えたことがない――』

バベルとは『旧約聖書』創世記第11章にある町の名。
町の人々は天まで届くバベルの塔を建てようとしたが神はそれを快く思わず、人々に別々の言葉を話させるよ
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

『パルプノワールの世界――』


アメリカの映画文化はクエンティン・タランティーノの登場前と後で大きく変わったと思います。
それまでは一つのシノプシスで強気に押していた脚本ばかりでしたが、そんなんじゃ
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.9

『どっと疲れた――』

レストランを舞台にした90分ノーカット長回しの熱量高いドラマです。
ギリギリの現場でクオリティの高い仕事を要求される職人たちのストレスフルな状況を見事に反映した、よく練られた脚
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トレジャーハンター・クミコ(2014年製作の映画)

3.8

『ファーゴをかける少女――』

作中に、いきなり近所の喫茶店が出てきて驚きました。

コーエン兄弟の『ファーゴ』を繰り返し観て間に受けて、作品の中で雪の中に隠された大金を探すために、ファーゴに行っちゃ
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.0

『メインビジュアルのこの椅子、なんだと思います?』

デヴィッド・クローネンバーグとヴィゴ・モーテンセンは相思相愛なんだと思います。
両者が初めて組んだ2005年『ヒストリー・オブ・バイオレンス』では
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.5

『タランティーノの復讐――」

1969年8月に起こった「テート・ラビアンカ事件」は世界中を震撼させました。現場はビバリーヒルズのロマン・ポランスキー邸。ポランスキーはポーランド出身で映画『ローズマリ
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ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

4.6

『T君のぼやき――』

一時期、親しくなって一緒に夜遊びしていた友人に、不動産業をしているT君がいます。
彼は飄々として朴訥で、時々「港区で100平米で家賃100万円の物件が出たんですけどいかがですか
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グリーンブック(2018年製作の映画)

4.0

『さらば、差別の時代――』

ほぼ単一民族国家の日本に住んでいると今ひとつ実感できない事ですが、白人層が経済と政治の中枢にいる多民族国家では、ほんの少し前まで「差別」が日常であり、当たり前でした。
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レスラー(2008年製作の映画)

4.6

『痛みと切なさの最高傑作――』

かなり前の話ですが、ニューヨークを本拠地とするプロレス団体『ROH』に日本の有名レスラーが参戦した事があります。
その時は僕も仕事で関わっていたので、ニューヨークにも
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オールド(2021年製作の映画)

2.5

『第六感はどこいった?』

M・ナイト・シャマラン監督の『シックスセンス』は自分史上最高傑作のひとつです。初めて観た時は雷に打たれたような衝撃を受けました。しかしシャマランはトムキャットに匹敵する一発
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グランドフィナーレ(2015年製作の映画)

4.5

『終わりは切なく温かい――』

映画を観終えて、まあまあ良い作品だったなと思いながらその晩はぐっすり眠り、翌朝目覚めた時に、いやちょっと待てよ、昨夜の映画はものすごく、とてつもなく心に残ったぞ――、と
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MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

『ピエタと宝子――』

ジョニー・デップが製作と主演を務め、1970年代初頭に熊本県で発症した四大公害病のひとつ「水俣病」にスポットを当てて映画化した伝記映画、それが『MINAMATA-ミナマタ-』で
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バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)

4.3

『コーリング・ユー――』

初めてロサンゼルスに行ったのは今から20年以上前です。
空港でレンタカーを借りましたが、当時はカーナビもあまり普及しておらず、当然土地勘もありません。せいぜいLAを舞台にし
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