マーくんパパ

OUTのマーくんパパのレビュー・感想・評価

OUT(2002年製作の映画)
3.9
桐野夏生の傑作サスペンス小説の映画化。氏の大ファン、「頬に降りかかる雨」と共に大好き小説。深夜の弁当詰め工場で働くパート主婦たち、皆んな何か人生の闇を背負ってる。DV夫を持つ妊娠妻弥生(西田)、無職夫・引きこもり息子で家庭崩壊の雅子(原田)、寝たきり介護の母を持つ寡婦ヨシエ(倍賞)、サラ金地獄にハマって街金業者から追われてる邦子(室井)。弥生が弾みで夫を殺し死体処理を雅子に押し付けたことでパート仲間への共謀の輪が広がっていく。巻き込まれた側の雅子&ヨシエの深刻さと対照的な無責任バカ女ベア(弥生&邦子)が無自覚過ぎておぞましさを中和してくれる。原作の深夜の工場駐車場でのヒソヒソ話など戦慄する内容が薄れる替わりに、日常の暗い苦しさから突き抜けた主婦たちの高揚感をメインに持ってきた事でおぞましい事件が清々しい味わいに変わってるのが味噌です。