とーるさんし

新 居酒屋ゆうれいのとーるさんしのレビュー・感想・評価

新 居酒屋ゆうれい(1996年製作の映画)
4.0
照明はこっちの方が上。松坂慶子の一人二役が生死の境界を混乱させ、暖簾の奥から料理を差し出す腕や映画館のスクリーンととある動作が同期する場面(映写機の光に照らされた亡霊の美しさよ!)など演出も非現実性を強調する清順的映画華。

TV画面に映された殺人の怖さ。或はスローの使い方。生瀬勝久と鈴木京香とフグのモンタージュなど可笑しさと幻想性の両立が上手い。

前作も良質なコメディに仕上がっており悪くなかったが、こちらはより複雑なシネマになっている。

渡邊孝好はもともと清順の助監督であり、そこはかとなく「ツィゴイネルワイゼン」を想起させたりもするのだが、単なるオマージュではなく、清順に匹敵するほどの創意が観られるという点で、清順好きは必見だろう。
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