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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのなのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ショーン役のロビン・ウィリアムズが出てる映画観たいな

(2回目観たので追記)ある本を読んだ後にこの映画を観てリンクする部分が多くあったのでメモします。

ウィルに妻を侮辱された直後にも関わらず「君から学ぶことは何もない。本に書いてあるからね。君自身の話なら喜んで聞こう。君って人間に興味があるから。」と言ったショーンはThe Road Less Traveledにも書かれているような真の愛を持った人だと気づいた。この本の「愛は感情ではない」という項によると純粋に愛のある人はたとえ嫌いな人に対しても愛情深く建設的にふるまうらしい。本を読んだ当時は「そこまでする必要があるのだろうか?」と思ったがショーンのこのセリフで納得させられてしまった。

ショーンとのセラピーで発言として出てきていた"誰とも本気で付き合わず一生を過ごす"これは上記の本の中の「失う危険性」で触れられていた、愛を向けた対象が失われてしまうかもしれないという恐怖に負けて生きながらの死を選ぶような生き方、と一致していた。
ウィルはスカイラーのカリフォルニアに一緒に行こうという申し出を受け入れられず口論になってしまったときに
ウィル「俺が何を恐れてる?」
スカイラー「私を恐れているわ、私に愛されなくなることを。私と同じよ。正直に認めるわ。」
と彼女に指摘されてしまっている。彼女は自身の中に存在するこの恐怖を認めた上で真剣に彼に関わろうとしてくれている。ショーンに加え、彼女もまた真の愛を持った人間の1人だったのではないだろうかと思う。
後のシーンでこのウィルの態度についてショーンが「人に捨てられる前に人を捨てる、防衛反応なんだよ」「君は最初の一歩を踏み出すのを恐れ、行動を起こそうとしない。離れたところでマイナス面を見ているだけだ」と述べていることも見逃せない。最後は彼女のもとに行ってくれて本当によかった。

ウィルの親友は工事現場でのバイトの休憩時間に、お前とバカ騒ぎする生活もたしかに楽しい、だがお前が持つ才能を活かして生きること、そうしてなんなら自分の前からいなくなること、そうなれば良いとまで言っていた。
セリフは「お前は宝くじの当たり券を持ってるのに、それを現金化する度胸がないんだ。お前以外の皆がそれを欲しがってる。それを無駄にするなんておれは許せない」
「お前と一緒にバカやるのは好きだ。でも俺の一日の最高な瞬間は、お前が家を出るのを待つ10秒間。ドアをノックしてお前が出てこないんじゃないかと思う。この瞬間が最高にワクワクするんだ」
ある人間を愛するのであればその人間が不遇な状況に留まり続けることを傍観していられない。
自分自身であれ他人であれその人間の精神的成長を願っているという意味でこれまた上記の本で述べられている愛の本質と合致した態度だった。他人に依存した人間だったら相手が離れることを恐れるばかりでこんなことを考えることは不可能だろう。
ラストシーンでウィルが不在の家を訪れたときの嬉しそうな親友の表情がすべてを物語っていると思う。
自己への愛も他者への愛も向けられる対象が異なるだけで本質的には同じものであると本の中で述べられているけど、ウィルが自分のやりたいことを選択するのは前者、スカイラーと前向きに生きることは後者が達成られたことを意味すると思う。

一方ランボー教授はウィルの精神的成長ではなく彼の才能に目が行き、「何がしたい?」と何度も訊くショーンとは対照的に見えた。

「It's not your fault.」とショーンが何度もウィルに対して繰り返すシーンは涙が出てしまった。上記の本の中で「神経症と性格障害」という項があり、どちらも問題に対する責任の所在を見誤ったよくない状態なのだけれど「お前のせいではない」という言葉はいわば神経症の状態にあったウィルを救い出す言葉だったのだと思う。

あとエリオットスミスの好きな曲いくつも聴けて最高だね。Between the BarsとAngelesがかかるタイミングが完璧だった。
な