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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのEyesworthのレビュー・感想・評価

4.9
【人は必要な時に人と出会う】

ガス・ヴァン・サント監督×マット・デイモン×ロビン・ウィリアムズの名作ヒューマンドラマ。 マット・デイモン×ベン・アフレックの共同脚本。

〈あらすじ〉
深い心の傷を負った天才青年ウィル・ハンティングと、同じく失意の中にいた精神分析医ショーンお互いにあらたな旅立ちを自覚して成長してゆく姿を描く感動のヒューマン・ドラマ。ボストンに住む青年ウィルは、幼い頃から天才ゆえに周囲から孤立していた。だが、彼の才能に気付いた数学教授のランボーは、ウィルに精神分析医のショーンを紹介する。ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが、彼の才能に気付いた政府機関や大企業が接近してくる…。

〈所感〉
『エレファント』『小説家を見つけたら』も非常に良かったが、青春物を描かせたらガス・ヴァン・サント監督は強いなぁ。同監督の作品の中でも最も評価が高くて、職場の先輩もベスト映画にこちらを挙げていたのでDVDで鑑賞。私が生まれた1997年の作品ということで、それだけだがなんとなく思い入れができそう。マット・デイモン演じる問題だらけの孤高の天才ウィルが友人や彼女との付き合い、そしてショーンというかけがえの無い人生の教師との出会いによって、彼の心の固く閉ざされた扉がこじ開けてられていく過程がまさに精神医療といった感じで、噂に違わぬ素晴らしいヒューマンドラマだった。ウィルとの対話を通じて導き手のはずのショーン自身も自らの過去と向き合い、少しずつ亡き妻への拘泥を捨て、新たなステップへと進んでいく様が素敵な関係だった。人は必要な時に人と出会うのだなと思う。
ただ、先に見た2000年制作の『小説家を見つけたら』と形は違えど、中身は兄弟のように酷似した作品に感じたのが少し気になった。あと無駄に下品なやり取りが多いような。あちらも才能はあるが、それを上手く発揮できない青年が運命の出会いにより変わっていく物語だった。主要人物が2人とも最後は今の場所から旅立つ展開もそっくり。違いを添えたのは、ベン・アフレック演じる親友チャッキーような人物の存在だったと思う。彼は工事現場の仕事中に、密かな願望を口にする。その約束を果たすかのようなラストはわかっていても涙ぐんでしまう。マットとベンの二人の幼なじみが手懸けた心揺さぶる脚本に拍手したい。旅立ちはいつも当人の不在故に寂しく、その空間は輝きに充ちている。
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