Jean

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのJeanのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

2018.10.27 日本語吹き替え視聴


【人生を豊かにするものは何なのか】

人間には2種類の"かしこい"があると思う。

1つは、答えがあるものに対して、
それを正しい手法で正確に求められること。
これを頭が良いと定義しよう。

もう1つは、答えのない問題に対して
自分なりに悩み、考え、
自分らしく導き出した答えを全うすること。
これを賢いと定義する。

そんな2つの"かしこい"があると考えた時、
後者の賢いは見る人によって様々。

私はこの賢いを備えてる人は、
人生が豊かな人だと思っている。



この映画はある青年の物語。

恵まれない環境の中で、
頭脳明晰で今を自分なりに楽しんで生きている
ウィルが人生の色鮮やかさを知っていく物語。

スラム育ちの孤児のウィルは
仲間と楽しく暮らしていた。

でも、明らかに周囲の仲間とは違って
ずば抜けて賢かった。

ハーバード大の学生の口を黙らせるほど、
言葉巧みで知識を持っていた。

1度本を読めば、読んだ人の全てを
あたかも知ったように語れる。

全てを知っているかのよう。

そんな彼があることをきっかけに
ある中年の男性と出会った。

その人の名前はショーン。
カウンセラーであり、心理学者。

会って間もない彼にウィルは
ショーンが描いたという絵を批判する。


私が考える賢いが本当に2つあるとしたら、
きっとこの時のウィルは
ただ頭が良いだけ。

人生を感じ、体感するという美しさを
ほとんど知らない。

私が思うに、知識だけでは補いきれない
人生の美しさや色鮮やかさを知るためには、
必ず対人関係が必要だと思う。

それは自分と同類の人間ではなく、
異なった考え、行動といった
自分では思いつかなかないことを考える人。

そんな人たちと触れ合うことで、
彼らを知ることで、自分の考えはより深く、
より広く、鮮やかになりうる。


【不完全な私たち】

私たちは永遠に完璧にはなれない

誰もが自分の不完全さとともに生きていく

その不完全さを私たちは共通認識として、
当たり前のこととして
とらえていかねばならないのではなかろうか

ただ、不完全を少しでも補おうとすることはできる

以前、知り合いと話し合っていた際に、
「私は作ろうよりも
ありのままの私を受け入れてほしい」
と私がいったら、相手はこんなことを言った

「なんて傲慢で、ずうずうしいやつ」だと

ただ私が言いたかったことはそういうことではない

小池一夫さんの言葉を
お借りして言うなら、こういうことだ

「ありのままの自分」を
人に受け入れてもらうのは大事なこと。
ただ、ありのままの自分を
受け入れてもらうとは、
ありのままだからといって
汚れた部屋に人を招き入れることではない。
客人のために部屋を片付け、
花の一輪でも飾り、
美味しいお茶菓子でも用意すること。
勘違いしている人がいるけれど。

この言葉を見つけた日に、
自分の心にすっと落ちる納得感があった

この言葉を私は言いたかったのだと痛感した

自分を繕わず、ただ相手への心遣いを忘れず、
相手を愛し、尊重し、素直に接していたい

そういう心がある限り、
人は人を思いやれるのだと思う

こう思えたのは、
色々な人と出会い、人の波にのまれ、
這い上がり、悩み苦しんだ経験があるからこそ

ウィルもショーンと出会ったことで、
相手を本当に大切に思うこと、
愛すること、尊重すること、気づかうことを学んだのだった



【色が混ざり合うということ】

自分とは異なる人と出会うことで、
美しい色が生まれることもあるが
反面、色が混ざり合いすぎて
よどむこともある

色々な人から様々な色をもらって、
それを混ぜすぎてはならないということ

自分で混ぜる色を選択することの重要性

ウィルはジェラルドとショーン
2人の師から慕われ、愛され、尊敬されていた

だからこそ、ウィルは好きな方を選べた

自身の頭の良さを使って、
社会に出ろ、のし上がれと言うジェラルド

まずは自分を許し、そして愛し
不完全な自分を愛してくれた人を
信じ、愛せと言うショーン

真逆に思える彼らをウィルは選べた
もしかしたら、
どちらも選ぶという選択もできたかもしれない

しかし、彼はショーンを選んだ

彼は“賢く”生きようと決心したのだった



【最後に】

この映画を見たら、
自分の生き方は間違ってない気がした

頭は良くないけど、
色々なことを感じて、思って、考えて、
よく悩むけれど、
それは人生を豊かにすると言うこと

生きているということ

若い今だからこそ、
なおさらそうであるべきなんだと思う

今更ながらに後悔してるのは
もっと勉強しとけばよかったなということぐらいかな

辛く苦しいこともすぎれば思い出
私の血となり肉となる

人生について考えさせられる
そんな映画だった
Jean

Jean