serina

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのserinaのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

It's not your fault. 
いろんな心に響く言葉が出て来たけど、何よりこの一言。この言葉は、誰もがいろんな状況下で使うと思うけど、この一言にパワーがこもるかこもらないかは、言う側の人間の経験や感性によって変わると思う。だから、この映画を通して、この言葉を扇情的に伝えられる人間になりたい、と強く思った。

答えは、自分で見るけるものだ。
これは、私の描く人間関係の理想像を上書きした考え。大切な友達の選択はどんなことであれ、肯定すると決めてたんだけど、それとは少し違う。模索してる最中の人に向けて伝え忘れてはいけない言葉。周りの助言は大切だけど、誰かの何かの尺度に押し付けられることだけはダメだよってことに気づかせてあげることを忘れちゃいけないと思う。

知識があることは素晴らしい。これは大前提。知識があることで、世界が広がるし、自分の選択肢が一気に増える。望まなくとも人々が機会を与えてくれる。ただ、社会の唱える正しさとか明確性、それだけで生きて行くのはとっても勿体無いんじゃないか、知識がなくとも経験や様々な感性を持っていれば人生、美しくないかなってことをショーンが教えてくれる。

「知ってる」ことが多いより、「感じたことがある」「見たことがある」が多い人が魅力的に見える映画。

ランボーとショーンに優劣はつけられないけど、いいコントラストになってる。ランボーは、未来を見据えた選択。ショーンは、今を生きる選択。ランボーは、独身で、知識と才能を生かして数学研究をこもって続けて何年もかけて数式を証明し、評価される。ショーンは、たった一人の愛する人のために友達との約束もキャリアも放棄して、共に時間を過ごすことを選んだ。競合する道を選び、自分の能力を最大限に生かして未知への開拓をしようとする時、必ず上には上がいることを身を持って体感させられる瞬間がある。ランボーにとってのウィルであり、不公平に感じたり、その人にしかわからない苦悩が生まれるけれど、成功したり評価された時、苦労の末に開花した瞬間は、これもその人にしか感じられない喜びがあると思う。ただ、その喜びがずっと続くのか、っていうのは本当に熱量をかける対象が好きであるかどうかってことだから、もし「才能があるから」っていう理由だけで時間と労力をかけているなら、喜びの後の虚無感って大きそうだなとは思った。一方で、ショーンのように「一生大切にしたい何か」を生きる中で見つけた時、その他全てを失ってでも共にすると決めたなら、そんな存在を見つけられたら、幸せだろうね。でも、その存在を失った時、身体と脳みそだけ残され、心を全て奪われた気分で生きなくちゃならないのは、酷だなって思う。どちらも天に昇るほどの幸せな瞬間と、どん底に叩きつけられる苦しい瞬間があって、人生を客観的に見ると規模は異なるにしろ、そういうものなのかもしれない。

ウィルの友達の言葉「才能があるのに、それを見て見ぬ振りするなんて、宝くじで大金を当てたのに、換金しないのと同じだ。お前が許しても俺が許さない。」宝くじを当てたって幸せになれるかどうかわからない。不幸になる人だってたくさんいる。生まれもった才能、美貌、感性、って生かすかいかなさいかは個人の自由であるけど、ウィルは、その才能に向き合うことをしてなくて、あの友達がいなければ、一生向き合うことがなかっただろうし、面と向かって言える人ってなかなかいないんじゃないかな。

シンプルに思ったのは「人生を使命感で生きるのやめよう」ってこと。怠けてるって言われるのかなー。でも、目の前に映る人や物や景色を守り続ける人生だって、十分に綺麗だよね。世界平和とかそういう規模じゃなくて、周りの声や社会の圧力に屈せずに生きたいなって心を揺さぶられた。

つまり、いい映画でした。
私が通ってる大学がある小さな街に、高校の友達が遊びに来て、1時間くらい離れた街に向かう列車の中で『知識よりも知恵があったほうがいいよね』っていう話になったの。その時に、この会話に似た映画があるよって教えてもらったのがきっかけで鑑賞。1997(98)年生まれの私たち、22歳で、これから社会に出るタイミングで、深夜に映画見て、ちょっと喋って、大学生らしい夜、この映画が思い出の一つになったのも嬉しい。
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