ROY

やくざ絶唱のROYのレビュー・感想・評価

やくざ絶唱(1970年製作の映画)
3.8
怒り、吠え、血まみれで突っ走る勝新!

掟も破るぜ、命もいらねえ!怒り、わめき、暴れまくる勝新!

『清作の妻』を観た以来の増村保造

なんだかんだ初めて観た勝新出演作

林光による音楽がイカしてる

原作は黒岩重吾の『西成山王ホテル崖の花』

「煙くれよ」

■INTRODUCTION
新宿のやくざの世界を背景に、美しすぎる妹を異常に愛した野獣のような兄と、兄の異常な愛情を断ち切ろうとする妹の異母兄弟の““愛””を描いたリアリティーあふれる野心作。

■STORY
新宿に縄張りを持つ石川組のやくざ・立松実には、美しい妹・あかねがいた。あかねを大学に進ませ、立派な女にするのが実の夢だった。実は、あかねのことになると常軌を逸した。その異常なまでの愛情は、情婦・可奈江でさえも入る余地がないほどだった。しかし、あかねは孤独だった。そんなあかねに、新任の教師・貝塚が興味を持つのだが……。(角川映画)

■NOTES
2017年に公開された『兄に愛されすぎて困ってます』(監督:河合勇人)という、土屋太鳳と片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)が主演のラブコメ映画があった。『やくざ絶唱』は、それとはまったく関係のない、“やくざの兄に愛されすぎて困っている女性”を描いた作品である。タイトルに「やくざ」が付くが、やくざの抗争劇を主軸とした作品ではない。そして全編、暗くて重く、ジメジメしている。

兄を勝新太郎が、高校生の妹を大谷直子(土屋太鳳に似ているといわれる)が演じた。勝新は大谷に対し兄妹愛の枠を超えた一種独特の愛情を抱いている。寝ている大谷に覆いかぶさるシーンもある。そして、大谷に近づく男を「ぶっ殺してやる」と恫喝する。

田村は、そんな怖い兄のいる大谷と交際する若い男の役だ。砂浜で、海パン一丁の田村とビキニ姿の大谷が砂だらけになって激しく絡み合う場面もある。しかし、勝新はもちろん2人の関係を許さない。勝新vs田村の対決は、およそ田村に勝ち目がなさそうだが、果てして……。

なお、勝新はのちに『古畑任三郎』(1994〜2006年、フジテレビ系)にゲスト出演する話が具体的に進んでいたとか。もし実現していたら、そこでは田村の完勝だっただろう。

峯岸あゆみ「田村正和は映画を捨てた?アイドルと共演し、やくざ映画で海パン一丁だった意外な一面とは」『Business Journal』2021-06-07、https://biz-journal.jp/2021/06/post_229676.html

追悼:田村正和さん

「幸せにしろよ。一生幸せにしろよ」
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