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蝿の王のASAのレビュー・感想・評価

蝿の王(1990年製作の映画)
3.7
思いのほか、かなり見応えあった。
子どもたちが無人島でサバイバルするのに小説の十五少年漂流記を思い起こしたけど内容は全然違うヘビーなもの。生きていく上で重要な水や火の確保の過程はあっさりめ。実際は作中のように簡単にシェルターを作ったり食材を集めたりはできないだろう。だが、問題はグループの対立後。生き抜くために略奪が起こるようになり、さらには人殺しまで躊躇なく起こるようになる。
極限の状況に陥って規律が破綻すると人間はこうも下衆になるのかと思うと恐ろしい。キャストが少年ということもあってその変貌ぶりがより際立った。最初は主人公についてきた小さい子たちが寝返った後、血走った目で槍を振りかざす姿は鮮烈だった。人間は性悪説に基づくのだろうか...と考えさせられる。ミストもそうだがこういった作品で最後まで道徳心を持ってるものは少数派。いわゆる「野蛮」というのが自然本来の姿なのかもしれない。人を殺したり略奪したり、人間らしさを捨てた人生に価値は無いよな、と毎度思う。高度な道徳心の有無が人間が他の生物と違う1番良いところの一つな気がする。だからこそ自分はそれを大事にしたい。
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