蝿の王の作品情報・感想・評価・動画配信

「蝿の王」に投稿された感想・評価

〜生き残れるか 子供達〜
それは、人間の恐怖と欲望を糧として湧き上がり群がる[悪意]の象徴。聖書に由来する[悪魔ベルゼブブ(別称 : 蠅の王)]のタイトルからして尋常じゃなく不吉です。

漂着した無人島で、少年達のサバイバル。理性派を凌駕して蛮族化していく…
状況的には[十五少年漂流記]ですが、心踊る冒険とは無縁。[青い珊瑚礁(1980)]のようなロマンスなんて以ての外。[太平洋の地獄(1968)]が牧歌的に思えます。

テーマは人間の[善と悪]か
[理性]の薄皮を被った[獣性]か
残酷で罪深い人間世界の[縮図]か

寓話的にして神話的
美しく豊かな島で何故争わなければならないのか?
誰の中にも[蠅の王]は宿っていると
本能に警鐘を鳴らすダークで邪悪でブラックなおとぎ話なのです。
無

無の感想・評価

2.5
1963年に作られた映画のリメイク版。
最初は平穏に助け合ってた少年達がそれぞれのグループに別れ、デヴィッド・ボウイ似の金髪少年がリーダーになり少数派で意見の合わない善良な主人公側のグループを襲撃したり、しまいにはいもしない怪物への捧げ物として島で捕らえた野生の豚の首を切断し、棒の先に突き立ててそこに蝿が無数にたかる様は不気味。
残虐性が高くグロい割にはこの映画を通して伝えたい物がぼんやりしていて自らが怪物へと変貌を遂げていく少年達の滑稽で愚かな姿を見せ付けられるだけの「ライオット・クラブ」の少年版みたいな話だった。
観るなら本家の方にすれば良かった…と後悔。
家族に会えない子供だけのサバイバル生活をしてるのに誰もホームシックにかからないし、服はボロボロになるが坊主にメガネの少年は痩せないし、髪は伸びなかったりツッコミどころが多い。
尺の短さ故に描ききれない部分もあるんだろうけど観ていて気持ちの良い話ではないのでこれぐらいがベストだと思う。
こういう時、大体イキってボスになりたがるのって大体金髪の美少年風なのはなんでだろう…w
孤島で少年たちがいつ来るとも分からない救助を待ちながら生き抜く話は好みで、面白くなりそうな要素が沢山あっただけに中途半端な物語になってしまったのは残念。
散々暴れまくった挙句の醜態を人に見られハッと我に返るラストだけはリアルで良かった。
hikkiman

hikkimanの感想・評価

3.1

このレビューはネタバレを含みます

おデブちゃん、かわいそうすぎる・・発光棒持って、滅多刺しにされた子も惨かったな。集団心理の恐ろしさよ。

主人公まじで助かって良かったな。追い回してた奴らは、なんか裁きを受けるのかしら。まあ、極限状態ってことで、お咎めなしだろうな。ひどいことをしたって負い目を背負って以後の長い人生を生きるだけでも、十分苦しいのかな・・殺さかけたほうは気が治らんだろうよ。

顔に化粧する感じ、ドラゴンヘッド思い出したわ。
三鷹

三鷹の感想・評価

3.5
Wゴールディングの小説の映画化。タイトルはとても有名で読んだことのない私ですら知っていた。面白そうなので初めて手に取る。戦時下、疎開の為に少年たちを乗せた飛行機が事故に遭い海に墜落。幸いにも孤島に辿り着いた少年24人が救助を待ちながら彼らは彼らなりのルールを決め秩序を形成していく。リーダーを決め、役割を決め…ということろまでは統制をはかる年長者の少年達がいろいろとぶつかり合いながらも「群れ」を率いるために懸命になる姿として描かれる。
やがて「群れ」は分裂の兆しを見せはじめ、命さえも脅かす対立の構造を作る。
まだ年端もいかない未熟な精神の少年達は次第に「権力」や「所有」、「支配」に対する欲望を芽生えさせていき、そのさまはごくシンプルな人間の業を描いているようで苦々しい。
話は前編にわたり控えめな映像で作られているため、少年たちのサバイバル映画と言っても今どきのテンポがよく適度に刺激的な映像に慣れてしまっている若めの年齢層には今一つ物足りなさを感じるかもしれない。テーマは「サバイバル」ではないので読み違うと拍子抜けしてしまいそうな作品ではある。
余談だが漂流者と化しているので当然と言えば当然、少年たちが殆ど半裸でありまた性器も見えるシーンもあるが、「これってDVD持ってたら児童ポルノに引っかからんか?」とか余計なこと考えてしまいました。法律は難しい…
ame

ameの感想・評価

3.7

集団心理、いじめ、派閥、、、

なんて野蛮で残酷なんだろう。

しかしながら、画面越しに見ている自分が作中に出てくる少年たちのことを"野蛮である"と嫌悪感を抱いたとしても、いざ自分が彼らの立場に立ったらもしかしたら自分自身が"野蛮である"ことに気付くのかもしれない。


👓---------------------------------------
自分も眼鏡がないとほぼ何も見えない人間だから眼鏡が踏み潰された時、さらには盗まれてしまった時の怒りと絶望がよく分かった。
末那

末那の感想・評価

3.5
渋谷のTSUTAYAでVHS借りて見た記憶がある。えぐい!と前評判だったけど、ソドムの市を先に見てたせいで、ハード目なスタンドバイミーだった。
<概説>

W・ゴールディングによる同名小説を再度映画化。孤島に漂流した少年達は次第に理性がはがれ、野蛮へと回帰していく。

<感想>

原作は文明主義批判的な文脈から読まれることが主流な作品ですが、こうして映像化されるとむしろ理智への賛美も見て取れるような気がしました。

知の不在によって作中の文化水準は原始時代レベルにまで失墜します。

これは人間の獣性を可視化する効果もあるのですが、映像として少年が活動することで、一方の大人がいないことも強調されるのですね。

大人とはつまり現在の知識の貯蔵庫であり、それを次世代へ継承する担い手。仮にその継承が行われずに大人が消失したなら、これまで蓄積した人智は零へと回帰します。

この喪失を嘆くまでは文面でも可能ですが、喪失以前にまで思考力が割けるのは映像ならでは。これまで多様な手段で叡智を零から積み重ねて、今の文明にまで発展させたことの尊さに気がつくことになりました。

そうなってくると批判の対象になる最後の軍隊という暴力的な知性も、少年達の竹槍との対比でいっそ感動すら覚えます。

偏執的なまでの知への渇望。
暴力的な本能へ服従する獣性。

この二者は人類史という物語上に連続しているはずなのに、なぜこうも異なって見えるのか。それは知識の継承という生産的行為に与えられた、莫大なまでの時間によるものなのかもしれません。
Ichiro

Ichiroの感想・評価

3.6
イギリス文学の講義で鑑賞。ディストピア文学の代表格。

 雷とか雨が、このシーンの残酷さや臨場感を強調している。少年たちがサイモンの正体に気づいていないのが不思議だと思った。また、無人島にいるのは「イギリスの健全な少年」で、文明を知っているにも関わらず、このようなイケニエなどといった非近代的なことをしてしまうのがとても恐ろしかった。
 残酷で直接殺害するシーンが描かれたもので、しかもサイモンが救われることなくそのまま殺されてしまう。正気を失った野蛮な人々に、きちんと物事を見られる人が殺されてしまうというなんともディストピアだと感じた。書かれたのが米ソ対立期だということもあり、社会の縮図が無人島を舞台に描かれていると思った。

 大人がやってきたことで、少年たちの世界は終わった。ラルフは殺されそうになっていたので安心しただろう。一方でラルフを追っていたジャック達は、元居た大人のいる世界に引き戻されたことで、正気を取り戻したのではないだろうか。自分たちのしてきたことに対して罪悪感を感じて悔いているか、はたまた自分たちが支配的だった世界の終わりを悲しんでいるかだろう。
 ただ、彼らにとってあの結末が救いだったのかは不明である。世界は第三次世界大戦であり、大人の世界も理性より暴力が支配的な時である。結局あの子たちはまたその暴力の世界で生きていかなければならない。本当にあの島は社会の縮図だったと感じる。
 また、あの後適切な裁判などが行われたのかも気になった。実際サイモンやピギーは死んでおり、ジャック達のしたことは殺人である。暴力が支配的な社会ではちゃんと裁かれないのかもしれないが。
ある程度の集団になると、階級、支配、対立が生まれるという人間社会の構図。学校、職場、地域、どこでもそうだ。
本を高校の時に読んで、クラスのみんなで考えた覚えがある。

学校の縮図って感じ。
>|